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  • 2021/10/21 掲載

グーグルが「脱炭素」加速のワケ、検索やYouTubeで「気候変動ウソ」動画を無効化など

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巷でよく耳にする「気候変動はウソ」という主張。この主張を拡散したソーシャルメディアの1つとしてYouTubeは非難されてきたが、このほどYouTubeのポリシー変更に伴い、気候変動否定論を展開する動画の収益が無効化されることになった。YouTubeを運営するグーグルによる環境への取り組みが加速しているためだ。このほか、グーグルは「グーグル検索」や「グーグルマップ」でもサステイナブル情報を付加する方針。グーグルによるサステイナブルへの取り組みの最新動向をお伝えしたい。
執筆:細谷 元
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YouTubeで気候変動に関わる検索を行うとすでに新方針の結果が反映されている
(出典:YouTube)

YouTube「気候変動はウソ」動画の収益無効化へ

 YouTubeで多く見られる「気候変動はウソ」と主張する動画。読者も目にしたことがあるかもしれない。その広告収益が、今後無効化されることになる。

 グーグルが10月7日に発表した広告ポリシーのアップデートによると、この数年「気候変動はウソ」と主張する動画が急増。一方、こうした動画に広告が掲載されることで、ブランドイメージが悪化することを懸念する広告パートナーが増えてきたという。

 自由に情報を発信できることをうたうYouTubeにおいて、こうした言論の自由に踏み込んだ措置をとるのは、グーグルにとっての重要なステークホルダー、収益源である広告主企業の懸念の高まりを受けたからだ。

 グーグルが気候変動について取っているスタンスは、その問題は事実であるというもの。また、その原因についても科学的なコンセンサスがすでに醸成されていると指摘し、こうした事実やコンセンサスを否定する動画が、今後収益無効化の対象になるとしている。

 具体的には、「気候変動はウソ(hoax, scam)と主張する動画」「温暖化の長期トレンドを否定する動画」「人間の活動が気候変動の要因であることを否定する動画」などが収益無効化の対象となる。

 一方で、気候変動政策に関する議論、気候変動の影響、気候変動に関する最新研究などに関する動画の収益化は、引き続き可能という。

 YouTubeにおける広告ポリシーの基準設定では、国連気候変動政府間パネル(IPCC)の専門家を含め、さまざまな気候変動の専門家からの助言が参考にされているとのこと。今後動画の評価は、アルゴリズムと人間によって実施される。

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「気候変動はウソ」と主張する動画はこれまでYouTubeで多く見られてきたが…
(Photo/Getty Images)

気候変動の誤情報を拡散したYouTube

 YouTubeが気候変動に関する誤情報の発信源になっていることは、これまでさまざまなメディアや団体が指摘してきたところだ。

 もちろん、他のさまざまなメディアでも誤情報が発信されてきたが、米非営利団体AVAAZが2020年1月に発表したレポートでは、気候変動誤情報の拡散でYouTubeの影響力がいかに大きいのかが指摘されている。

 AVAAZの分析によると、YouTubeで「global warming」というワードで検索したときに表示される動画のうち、実に20%が気候変動に関する誤情報動画であることが判明。また、誤情報動画の多くが、高い再生回数となっているという信じたくないような現状も分かった。

 たとえば、ParagerUチャンネルで2015年7月27日に公開された「What they Haven’t Told You about Climate Change」という動画の再生回数は、このレポートの発表時点で274万回に達していた。

 この動画を見たことがないユーザーのために、一部のみ紹介すると、動画の概要欄にはこう書かれている。
「太古の昔から、気候はずっと変動してきたし、これからも変動し続ける。『気候変動』は、人が引き起こした最新の大惨事などではなく、さまざまな複雑な理由が絡む、地球という惑星の日常に過ぎない。パトリック・ムーアが説明します」
 この動画の再生回数は、2021年10月には371万回に増加している。動画の評価はというと、「Bad」が2.1万ついているものの、「Good」は4.6万とそれを倍以上も上回っている。配信するParagerUチャンネルの登録者数も293万人と、依然として大きな影響力を保持している。

 さらに、AVAAZのレポートでは、こうした誤情報動画には、気候変動対策を行う企業の広告動画が再生されていることも明らかになった。上記ParagerUの動画では、ダノンの粉ミルクの広告やドイツのエコ検索エンジン「Ecosia」の広告などが散見されたと報告されている。

 ダノンは、同社Webサイトで気候変動は深刻な問題であるとの認識を示し、2050年までにカーボンニュートラルを達成するとの目標を明らかにしている、環境への取り組みにむしろ積極的な企業である。

 そのような企業の広告が、気候変動否定論を展開する動画に掲載されていたとして、以前よりデジタル広告業界では問題視されていた。

【次ページ】グーグル検索やグーグルマップもサステイナブル仕様に
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