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  • 2020/12/06 掲載

その教え方が子どもをダメにする?恐ろしい3つの「新常識」

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オンラインにも関わらず全米トップの進学校である「スタンフォード大学・オンラインハイスクール」。日本人の星 友啓校長は、同校では親や教師が当然のようにやっている「誤った常識」に基づいた教育を排除し、生徒たちを名だたるトップ大学に輩出することに成功しているという。本稿では、その誤った常識3つを解説してもらった。
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知らない内に行ってしまっている、誤った教え方とは
(Photo/Getty Images)

※本記事は『スタンフォードが中高生に教えていること』を再構成したものです。


誤った常識1:成果や能力をほめる

「よくできたね! しかも、読むのが早い!」 「こんな問題ができるなんて、賢い!」

 子どもが正しく問題に答えたり、何かうまくできたりした時に、ほめたくなるのはごく自然の反応。どんどんほめるのが子どもをサポートする時の成功の秘訣で、ほめれば成功体験を実感させられる。ほめて育てると子どもに自信がつきやる気が上がる。

 しかし実はほめることは「諸刃の剣」なのです。うまく使いこなせれば良い効果があるものの、そうでなければ、予期せぬ逆効果で子どもに悪影響を及ぼしてしまいます。

 たとえば、冒頭のように、「よくできた!」「こんな問題ができる」などとして、子どもの成果そのものをほめたり、「読むのが早い!」「賢い!」などと、子どもの現在の能力や知性をほめることは、非常に危険です。

 この点について、世界的ベストセラーの『マインドセット「やればできる!」の研究』の著者キャロル・ドゥエック教授の一連の研究が有名です。

 ドゥエック教授らは、ある研究で、小学生を2つのグループに分けてパズルを課しました。どの生徒もしっかり取り組めば大方はできる程度の易しいものです。

 パズルが終わった後、一方のグループ(知性グループ)には、できたパズルの数(Ⅹ)を伝えて、「Xもできてる。よくできたね! 頭いいね!」などといって、成果と知性をほめる言葉をかけます。もう一方のグループ(努力グループ)には「Ⅹできてるね。すごくよく頑張って考えたね」と努力をほめる言葉をかけます。

 その後、それぞれのグループに、パズルが楽しかったか、持って帰ってもっとやりたいか、今後もいい結果を残す自信があるかなどの質問をします。

 「楽しさ」「やる気」「自信」のチェックです。

 このチェックの結果、2つのグループで有意な違いは見られませんでした。

 しかし、もう一度パズルをやるとしたら、より難しいものをやりたいか、それとも、同じようなものをやりたいかを聞くと、2つのグループで大きな差が出てきます。

 知性グループは、大半が同じようなものがやりたいと言ったのに対し、努力グループの90%がもっと難しいものをやりたがったのです。

 知性グループは「賢い」とほめられたため、パズルの結果で自分が評価されることを体感し、同様の成果を残して「賢い」と見られ続けようとした一方、努力グループは努力がほめられたので、さらに努力を続けようとしたのです。 

●正しくほめるための秘けつ

 この実験には続きがあります。第2ラウンドとして、同じ子どもたちに1回目のパズルよりも難しいものが渡されます。その結果、ほとんどの生徒が1回目のパズルよりも、成績が悪くなります。

 それが終わった後に、子どもたちに1回目と同様の「楽しさ」「やる気」「自信」に関する質問をします。

 ここで、知性グループと努力グループに大きな差が出てくるのです。

 知性グループは、今回の問題を前回よりも楽しむことができず、持って帰ってやる気も出ず、また、前回よりも低いパズルの成績に自信も落ちてしまいました。

 自分が得た「賢い」というラベルが傷つけられ、楽しさややる気、自信まで削がれてしまったのです。

 一方、努力グループでは、前回よりもパズルを楽しく感じ、家に持って帰ってやる気も上がり、また、前回よりもできなかったにもかかわらず、そのことが自信の低下にはつながらなかったのです。

 できなかったのだから、単に、もっと頑張らなければいけないと思い、家に持って帰ってさらに練習したいと、かえってやる気につながったのです。

 この実験から分かるように、成果や知性をほめてしまうと、自信ややる気が増すどころか、全く逆の方向に向いてしまいかねないのです。

 ほめる時は成果や知性をほめるのではなく、子どもの努力や積極的に学ぶ姿勢をほめましょう。そのことで、子どもの持続的なやる気を育むことができるのです。

【次ページ】誤った常識2、3
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