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  • 2020/02/04 掲載

IoTの普及でペイメントシステムが激変、決済伴う新サービスのゆくえ

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IDCの2019年の調査によると、グローバルでのIoT市場の規模は2018年に1900億ドル(約20.7兆円)だったものが、2025年には1兆ドル(約110兆円)に達する見込みだ。こうした市場の拡大を受けて、IoTソリューション市場に本格的に乗り出しているのが米スプリントだ。同社はペイメントシステムを組み合わせた新しいIoTサービスを世界に展開しようと目論む。この記事では同社ほか、IoTがフィンテックを融合した新サービスの最前線を追う。

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

執筆:米国在住ジャーナリスト 土方 細秩子

米国在住のジャーナリスト。同志社大学卒、ボストン大学コミュニケーション学科修士課程修了。テレビ番組制作を経て1990年代からさまざまな雑誌に寄稿。得意分野は自動車関連だが、米国の社会、経済、政治、文化、スポーツ芸能など幅広くカバー。フランス在住経験があり、欧州の社会、生活にも明るい。カーマニアで、大型バイクの免許も保有。愛車は1973年モデルのBMW2002。

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「ペイ・パー・ユーズ経済の中心に車を持っていくために」のセッションの様子。(左から)NGPキャピタル ポール・アセル氏、Visa モリー・ヒーキン氏、Fiserve スコット・マッケイ氏(※ディスカッションの詳細は記事後半で紹介)


IoTで特徴を出そうとするスプリント

 大手通信会社のスプリントの取り組みは本連載でも以前取り上げたが、このほど行われた電子機器の見本市CES 2020でも注目される発表をいくつか行った。

 同社は米国で2019年10月時点で利用者5390万人、全米で4番手につける通信大手である。2019年第3四半期の米国内のシェアを見ると、AT&T39.9%、ベライゾン29.3%、Tモバイル16.4%、スプリント13.3%となる。

 スプリントは、この状況の中でソフトバンクが持つ企業ネットワークを活かしたIoT部門で特徴を出そうとしており、独自のIoTに特化したCuriosity OSを開発、さまざまなビジネスソリューションを展開している。

 IoTを使ってどのようなサービスが提供できるのかについてのユーズケースでは、以下のようなものが挙げられている。

リテール在庫管理、ポイント・オブ・セールシステム、カスタマーエクスペリエンスの向上。
スマートシティ街頭カメラとその映像分析、コネクテッド・カーやスマート・パーキングメーターなどの連動によるスマートな街づくり。
スマートオフィスオフィス全体の人の流れ、効率性の管理、VRを使ったミーティング、コネクテッドなオフィス機器により仕事の流れをスムーズに。
サプライチェーンと物流物品のトラッキング、フリートおよびドライバーのマネジメント、安全性の向上。
コネクテッド・ファクトリー自動運転のモバイルロボット、デジタル・ツイン、産業用ARによるファクトリー内の効率性の向上。
ヘルスケアと病院ロボットによる手術、リモートによる患者モニター、在庫管理によりコストを下げながらより良い治療の実現。
ホスピタリティホテルルームでのルームサービスの迅速化と効率性の向上、スマート冷蔵庫などのデバイスにより顧客により良いエクスペリエンスの提供。


ペット向けIoTサービスがオーストラリアで利用可能に

 このCuriosityによるIoTプラットホームが、オーストラリアでも利用できるようになる。今回のCESでスプリントはオーストラリア最大の通信企業であるTelstra社との提携を発表、同社のIoTプラットホームのグローバル展開における初めてのケースとなった。

 これにより、スプリントの通信がオーストラリア国内で単にTelstraによりローミングされるのではなく、ローカルネットワークに直接アクセスすることでラウンドトリップタイムの減少が実現し、IoTのパフォーマンスが向上する。

 両社の提携によるカスタマーの第一号として、米Wagz社との契約も結ばれた。Wagz社はペット用品販売会社で、ペットのスマートトラッキング、フィーディング・ソリューションなどを提供している。Wagz社は今回の提携により、同社のサービスをオーストラリア国内にも展開できるとしている。

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IoTデバイスと決済が融合することで生まれる新サービスとは
(Photo/Getty Images)

IoTにペイメントシステムを融合

 このグローバルな展開のためのパートナー提携とともに注目を集めたのが、デジタル・フィンテック企業であるWirecardとの提携だ。Wirecardはドイツに本社を、世界40か国に拠点を持ち、金融コマースのデジタルプラットホーム提供で急成長を遂げている企業である。

 B2B2Cでの一貫した決済を提供することで、デジタル・ペイメントのエコシステムを構築している。そのサービスはオンライン、モバイル、ePOSなどのあらゆるチャンネルをカバーしており、特にペイメント&リスク、リテール&トランザクションバンキング、ロイヤリティ&クーポンサービス、データ分析&コンバージョン・レート・エンハンスメントに注力している。

 では、スプリントとWirecardとの提携により何が起きたのか。スプリントのCuriosityが、「インターネット・オブ・ペイメント」を顧客に提供することが可能となったのだ。IoTソリューションにペイメントシステムも含まれることで、顧客に対し付加価値の高いサービスを提供することが可能になる。

 冒頭、グローバルでのIoT市場の拡大に触れたが、国境、そしてさまざまなビジネスチャンネルの垣根を超えてシームレスなペイメント・ソリューションを提供できることで、この大きなビジネスチャンスに食い込むことがより可能になる、と提携した両社は語っている。

 両社はまずリテールセグメントに注力し、市場への参入を図るという。統一されたコマースアプローチにより、未来のリテール・エクスペリエンスの定義を行い、それに向けたサービスを作り上げる。

 インテリジェントでコネクテッドな購入方法を構築することで、マーチャントは現在、そして将来の顧客からの期待に応えることができ、それによりビジネスのさらなる発展を見込める。

【次ページ】IoTの普及でペイメントシステムは大きく変わろうとしている

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