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  • 2017/07/12 掲載

月刊総務、リクルートワークス、ITRが断言、「総務」こそ働き方改革の要だ

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労働力不足が確実視される日本にとって、働き方改革は生産性を向上する切り札にもなる。しかし、企業における取り組みには、ばらつきが見られる。どうすれば「働き方改革」を加速できるのか。人事、総務、ITという立場から、リクルートワークス研究所 人事研究センター長の石原直子氏、ウィズワークス 取締役『月刊総務』編集長の豊田健一氏、アイ・ティ・アール 取締役 シニア・アナリストの舘野真人氏の3人がディスカッションを繰り広げた。モデレータは内田洋行 執行役員 知的生産性研究所所長の平山信彦氏が務めた。
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働き方改革のためのイベント「Change Working Forum(チェンジ・ワーキング フォーラム)」でパネルディスカッション「再考、あらためて生産性を考える」が実施された。

この1年間の働き方改革の動向

平山氏:3人のパネラーは昨年のイベントでも登壇されています。そこで、ここ1年間の働き方改革の動向について、気付いたことをお聞かせください。

石原氏:2016年6月の「ニッポン一億総活躍プラン」から始まり、9月には働き方改革担当大臣が誕生。2017年3月には働き方改革実行計画が提案されました。新聞を見ても働き方改革という文字が出てこない日はありません。特に国の働き方改革への強い意思を感じたのが、2016年10月に電通の女性従業員の自殺が労災に認定されたことです。この1年で、働き方に対する世の中の空気は大きく変わりました。

舘野氏:ITの立場から見ると、この1年、政府の積極的な働きかけにより、企業が思った以上に反応している印象です。テレワークやフリーアドレスなど、自由な働き方を認める方向に進みつつあるものの、サボらせることがないようにしよう、統制を強化しようというネガティブな議論に進んでしまうことが気になります。

 また、大企業を中心に長時間労働対策として全社一律の施策を導入する動きも目立ちました。裏を返せば、働き方のマネジメントにこれまでITが介入できていなかったということです。もう一点、RPAやデジタルレイバーなどと言われる、「パソコンでできる作業をすべて自動化しよう」というソリューションが登場したことも、この1年間の変化だと思います。

豊田氏:総務の視点から見ると、働き方改革にどう貢献していけばよいか、悩んでいる状態だと思います。優秀な企業の総務は軸を定めることから始めています。そもそも自社はどうあるべきか、どう働き方を変えようとしているのか。そういった軸を定めたうえで、「手段としての働き方改革」をしています。

プレイングの仕事が多すぎる「プレイングマネジャー問題」

平山氏:時短への取り組みの進捗状況ついて教えてください。

石原氏:2015、2016年ぐらいから全社をあげて働き方改革に取り組んでいる企業が増えており、その流れは今年も続いています。今回の働き方改革は労働基準監督署(労基署)が恐いから始まっているというわけではありません。つまり組合員の労働時間の話ではなく、管理職も含め全社として生産性を高めるための働き方改革です。

 管理職が良いアサインメントをすれば、チーム全体の生産性が上がることがわかってきたのですが、良いアサインメントをどうやってするのか、その方策は解明できていません。チームのマネジメントの観点ではまだできていないことはたくさんあります。

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リクルートワークス研究所 人事研究センター長 石原直子氏

平山氏:非管理職の残業は抑えるけれど、そこでオーバーした仕事はマネジャーにエスカレーションして対応しているということですね。マネジャーが輝けるモデルではなくなってきているのは、大きな問題ですね。

石原氏:この問題を解決するのは非常に難しいと思います。管理職といってもプレイングマネジャーで、しかもプレイングの仕事が多すぎるんです。管理職の役割はチームの力を使って目標を達成することです。プレイングの部分を減らすためは、良いアサインメントをする技術を身につけることが必要だと思います。

平山氏:プレイングマネジャーは日本企業の強みと言われてきましたが、強みにはなっていないのかもしれません。

舘野氏:週1日でもよいのでマネジャーにテレワークを強制させることですね。そうするとアサインメントをしっかり考えるようになります。マネジメントのトレーニングになる。テレワークやWeb会議などを実践している企業では効果的だという話を聞いています。

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アイ・ティ・アール 取締役 シニア・アナリスト 館野真人氏

平山氏:なるほど、テレワークはマネジメント能力を開発するインキュベータ的な役割を担うということですね。

舘野氏:テレワークをうまく活用するには、チームビルディングも欠かせません。そのためにはツールの活用が必要です。たとえば議事録はクラウドサービスでリアルタイムに共有したり、Web会議をデフォルトにしたりと、まずは小さいところから始めて広げていくといいと思います。

平山氏:日常的にテクノロジーを当たり前のように使うことが大事ということですね。総務では時短をどう捉えているのでしょう。

豊田氏:総務においての時短は2つあります。1つは総務自身の時短。もう1つが現場社員の時短のサポートです。総務の時短については、戦略総務の概念がぴったりマッチします。戦略総務は本来のあるべき姿に向かって会社を変える役割を担うことですが、現状の総務は時間もなければリソースもありません。まずは既存の業務をスリム化するため、業務を見える化し、見直すことが必要です。

 そのあと、リソースを作って戦略総務のやるべき仕事をすることが、結果として総務の時短につながります。そのうえで現場社員が本来やるべき仕事に注力できるよう、付随的な仕事を巻き取るんです。総務がコンシェルジュのような機能を持つことで、現場社員の時短を促すことができる。結果として現場の生産性・効率が上がります。

【次ページ】総務主導の「働き方改革」
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