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米国ではレコードプレイヤー、レコード盤の人気が上昇中だ。アマゾンも特設サイトを開設したほか、YouTubeなどの宣伝付きストリーミングの売り上げを上回る勢いになっている。利用者の中心は若い世代で、古いレコードプレイヤーがそのまま売れているわけではない点も特徴といえるだろう。このブームが目新しさによる一時的なものなのか、それとも永続的なものなのか、注目が集まっている。
オーディオ機器で最も売れたのはレコードプレイヤー
昨年のクリスマスシーズンにアマゾンのオーディオ機器で最も売れたのは、なんとレコードプレイヤーだった。この傾向は2015年に始まり、現在も続いている。このため今年4月にはアマゾンはレコード盤専用ショップをオンライン上に開設、ニューリリースを含めた音楽販売を行っている。
アメリカレコード協会(RIAA)によると、2015年の販売総額を比較するとレコード盤は全体の6%を占めるに過ぎないが、その総額は4億1600万ドルで、同年の広告付きストリーミング(YouTubeなど)の売上額3億8500万ドルを上回る。
またダウンロード形式ではない音楽販売としてはCDが全体のおよそ8割、レコードが2割となっている。
レコード盤の販売は2007年に底を打ったが、その後毎年のように2桁の増加を続け、2015年には1700万枚まで回復。今年には年間4000万枚の販売も視野に入った。売上総額は数年内に10億ドルに達する、とも見込まれている。
デジタルストリーミングをレコードが上回ったのは1991年以来のこと。またレコードの売上が4億ドルを上回ったのは1988年以来だ。このレコード人気に伴い、レコードプレイヤーの売上も上昇している。
マーケットリサーチ会社NPDによると、2016年3月から2017年2月までのレコードプレイヤー売上はユニット数で23%、売上額で16%アップしたという。
古い技術がそのまま受け入れられたわけではない
現在の米国におけるレコードプレイヤーの売れ筋は、トップがイノベーティブ・テクノロジー、2位がクロズレー、3位がオーディオ・テクニカ、4位ジェンセン、5位ソニーとなっている。
特筆すべきは販売価格が250ドルを超えるプレミアム・プロダクトと呼ばれるカテゴリーが135%増となっている、という点だ。一方でエントリーモデルとされる価格が50ドル以下の商品も好調で、アマゾンのクリスマスシーズンの売れ行きを支えたのはこうした廉価製品も大きい。
NPDではレコードプレイヤー人気を「ポラロイドのようなインスタントカメラと同様に、古い技術に対し特に若い世代が目新しさを感じている」ことが大きい、と分析する。つまり人気回復の理由はミレニアル世代(2015年時点で18~34歳の年齢層)がレコード視聴に興味を持ち始めたことが挙げられる。
しかし同時に現在売れているレコードプレイヤーには
1.およそ半分にブルートゥース機能がついている。1年前にはこの数字は18%だった。
2.全体の39%がアナログからデジタルへの変換、音楽ファイルの作成機能を備えているが、価格が300ドルを超えるハイエンド商品ではこの割合は48%となる。
3.全体の3分の2のレコードプレイヤーのボディカラーは黒以外の色。こうした色の付いたモデルの売上は前年比で16%。
という特徴がある。アナログの音を楽しみながらも、PCへの接続、MP3ファイルなどの作成により外でも音楽が楽しめる、というのが現代のレコードプレイヤーには必須の機能になりつつある。
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