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  • 2016/11/04 掲載

インバウンドマーケティング事例:イベントレジストの営業が得た「顧客化への気付き」

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イベントやセミナー、カンファレンスなどの事前登録を支援するクラウドサービスを提供するベンチャー企業の「イベントレジスト」。同社が取り組んでいるのは、従来のマスマーケティングとは異なり、個々の顧客と個別のコミュニケーションを通してビジネスを加速させる「インバウンドマーケティング」だ。ハブスポット主催の「Grow with HubSpot」では、イベントレジスト 取締役COO 小笹文 氏、コンベックス代表取締役社長 美里泰正 氏、ブイキューブ マーケティング本部 本部長 佐藤岳 氏らが登壇し、各社が取り組むインバウンドマーケティング事例が紹介された。
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(左から)ブイキューブマーケティング本部 本部長 佐藤岳 氏、イベントレジスト 取締役 最高業務執行責任者 小笹文 氏、コンベックス 代表取締役社長 美里泰正 氏

インバウンドマーケティングとは何か?

 自社の商品・サービスをよく知る自らがコンテンツを発信したり、それに反応してきた相手のニーズのコアがどこにあるのかを分析したり、密なコミュニケーションを通して顧客との関係を地道に築いたりするには、これまでにはないノウハウもコストも必要となる。これまでのようにマスメディアを使って同じ広告素材を使いまわす手法では厳しいというのは理解していても、何からどうすればいいかわからない、大きな予算も割けないという企業も多い。

 そこで登場したのがインバウンドマーケティングの手法であり、情報発信から潜在見込み客を呼び込み、見込み客化、顧客化まで一貫して管理するマーケティングオートメーション(MA)ツールだ。パネルディスカッションに登場したコンベックスの美里氏はMAツールとしてハブスポットを導入した理由を「とにかくセミナーに来ていただく方を増やしたかった。セミナーの来場者数も増やす、そのために啓蒙するようなコンテンツをもっと増やそうということでハブスポットを導入した」と述べた。

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「とにかくセミナーに来ていただく方を増やしたかった。セミナーの来場者数も増やす、そのために啓蒙するようなコンテンツをもっと増やそうと思っていた」(美里氏)

「私たちはもともとコールセンターの営業支援システムを展開しており、ターゲットは営業を積極的に行われる会社さん、中堅・中小企業のお客さまが多い。見込み客を引きつけるという形でセミナーはやっていたが、効率化を加速したいということで2013年末ころにハブスポットを導入した。電話などもやっていたが、それだけでは効率が上がらないので、セミナーの来場者数も増やすことにした」(美里氏)

セミナーからのコンバージョン率を大きく伸ばしたブイキューブ

 では、インバウンドマーケティングを実践したことでどのような変化があったのだろうか。ブイキューブのマーケティング本部本部長の佐藤岳 氏は、その変化として、セミナーからのクロージングレート、コンバージョンレートの伸びを挙げた。

 ビジュアルコミュニケーションサービスを提供している同社は、東阪名で毎月、福岡で四半期に1度セミナーを開催している。同社はハブスポットを活用することで、クロージングレート、案件化率・オポチュニティへの展開、オポチュニティからクロージングのレートが向上したという。

 セミナーの内容はどちらかというとハンズオン、タッチアンドトライ的なもので、1回のセミナー参加者数はだいたい10名前後だ。セミナー参加者の平均すると4割くらいが案件化、もしくはクローズする。

「当社の場合、Webからのお問い合わせが多く、クロージングの効率がいいチャネルだ。ハブスポットを入れた後は、50%くらいコンバージョンレートが伸びた。営業からは『非常に営業しやすくなった』、『クロージングしやすくなった』というフィードバックを受けている」(佐藤氏)

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「インバウンドマーケティングの取り組みはかなりやっていたが、それがうまく機能していなかったという点と、セールスへの貢献が見えていなかったというところが課題だった」(佐藤氏)

イベントレジストは「コンテンツの課題」にどう取り組んでいるのか

 イベントレジストはイベントやセミナー、カンファレンスなどの事前登録を支援するクラウドサービスを提供するベンチャーだ。こうしたサービスがあること自体がまだまだ知られていない自分たちにとって、営業のコミュニケーションコストの大幅な短縮に直結したと小笹氏は語る。

「私たちの会社はいまちょうど6期目で、本格的にハブスポットを入れたのは約3年前。私たちはイベントであったり、セミナー、カンファレンスだったりの事前登録を簡単にできるというクラウドのサービスを販売している。エンタープライズ版のセールスであるB2B営業の部分を効率化させようと思い、ハブスポットを使い始めた」(小笹氏)

 ハブスポット導入前は、事前のコミュニケーションがほとんどない、私たちに対する理解がほとんどない状態の問い合わせが多かった。しかし導入後は、ハブスポット経由で入ってくる問い合わせの約半数が受注に結びついた。また、営業のコミュニケーションコストも大幅に短縮されているという。

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「こういうサービスがあること自体そもそも知られていないと、一生懸命広告をやったとしてもサービスに到達してもらえない」(小笹氏)

 イベントレジストでは、イベントの会社であると気付きを与えるためのコンテンツとしてブログに記事をアップしている。

「いわゆるペルソナとして置いている、お客さまになってほしい方々はそもそもどういったところに課題感を持っているんだろうと、一度上位レイヤーで考える。その方々が持っているであろう課題をこのブログの記事を読んでくれればきっと解決できるんじゃないかというような内容を取り上げている。サービスの特徴や良いところを書くブログではなく『そもそもイベントってどうやって運営したらいいのか』、『どうやったらマーケティング担当者一人でイベントが成功できるのか』といった記事などを200本くらい(書いた)。私一人では当然無理なので、営業の人たちやみんなに協力してもらって立ち上げた」(小笹氏)

 インバウンドマーケティングを行う上でまず大きな壁になるのはコンテンツだ。潜在見込み客を引きつけるコンテンツをいかに作り続けるか、見込み客から顧客化へ、どうコミュニケーションを取っていくか。

 イベントレジストでは、問い合わせやダウンロードなど、顧客から何らかのアクションがあったタイミングに必ずハブスポットを見て、『この人はどのブログを見て問い合わせしたのか?」あるいは「そのブログを書いたのは誰か?」というところまで戻り、著者である営業に対してそのリストを渡すということを忠実にやっているという。

「そうすると、営業の子たちは自分たちが1つブログを書くことで『こういう顧客と会える』というのが実感として出てくる。そこで、次のブログをブラッシュアップしようとか、こういうことを書いておきたいとか、ebookを自分で作りますとか言ってくれる。小規模ながら自走できる組織へと、いま非常に注力してやっているところだ」(小笹氏)

【次ページ】「成功体験」こそが、コンテンツ作りのモチベーションだ
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