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  • 2015/06/26 掲載

なぜマイクロソフトCEOもソフトバンク後継者候補も、インド出身なのか

インドIT最新事情

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インドは今や、世界有数のIT技術立国といえる。人材面から見ても、米マイクロソフトCEOサティア・ナデラ氏やソフトバンクの孫 正義 氏が後継者候補に指名したニケシュ・アローラ氏も、インド出身だ。インドは、2014年5月にナレンドラ・モディ首相の政権が発足して以来、ますますIT化を加速させる方針であり、この動きは行政においても民間においても着実に広がっている。そうしたインドのIT最新事情を、当地在住の筆者が伝える。
エクシール・エフ・エー・コンサルティング 

エクシール・エフ・エー・コンサルティング 


ガガン・パラシャー

IILM卒。財務分析、投資コンサルティング、ビジネス調査の経験を経てBig4系列で法人事業コンサルティングに従事。その後X-Ciel Consulting Pvt. Ltd.を立ち上げ、エクシール・エフ・エー・コンサルティングに参画。インド北部ノイダで活躍中の気鋭のコンサルタント。


大塚賢二

東京大学法学部卒。金融機関、Big4系列コンサルティングファーム勤務等を経て現在、株式会社ファルチザンの代表を務める。中小企業の海外進出、金融機関の経営管理・内部統制の支援に注力。エクシール・エフ・エー・コンサルティングではガガン・パラシャーとともに中小、ベンチャー企業のアジア進出を支援。

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期待の高まり続けるインドIT

 「メーク・イン・インディア(Make in India)=インドでものづくりを」のミッションとともにモディ政権が登場して以来、スキルの高い技術者に対するニーズの高まりも相まって、インドのIT界の未来は明るい。

 いや、明るいどころか、国民の多くが、新時代への道を拓いてくれるのはもはやIT以外にないと過度な期待を抱いている感さえある。サービス効率の追求とともにダイナミックな経済成長をも渇望するインドにおいて、ITの果たす役割は大きいものがある。

 インドでは、デジタル技術はサービス業・製造業だけでなく農業においても注目されており、また、今や多くの国民がハイテクの進歩がもたらす教育水準の向上やヘルスケア施設の進化の恩恵にあずかっている。モバイルインターネット、クラウドコンピューティング、時代の先端を行くゲノム研究にまで及ぶITの進展が生み出す経済効果は、2025年には1兆ドルに上るという試算もあるほどだ。

 インドのエキスパートたちは新しい技術の発見に伴って次々と新しい考え方を応用し、将来に立ちはだかる難関に対峙してきている。なかでも電子決済は、インドではまだ発展の余地のある分野のひとつであり、10年もすれば2億5千万人、いや3億人を新たに金融システムの中に取り込むことができるといわれている。

民間も行政も影響し合いつつ発展

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図表1
インドITの主要6分野
 人々がモバイルインターネットやクラウドを駆使し、知識集積、各種支払、ID認証をデジタルで行う時代はここインドにも到来している。物流システム、GIS(地理情報システム)、次世代ゲノム分野、石油・ガスの掘削法、再生可能エネルギー、エネルギー貯蔵といった領域にもますます熱い視線が注がれている。デジタル技術は、インド庶民の日常生活においても、産業分野においても、重要な役割を果たしているのだ。

 インドの民間経済におけるITの活用は主に、「金融」「教育・技能育成」「ヘルスケア」「農業・食品」「エネルギー」「インフラ」と6分野に分けることができる(図表1)。

 一方、行政分野では、公共データの活用促進(いわゆるオープンデータ)、データを活用した計画策定、スマートシティアプリといった、電子政府の実現に向けた取り組みが着々と進行中だ。

 こうしたハイテクの発展は、それぞれが単独で進行するのではなく、複数の取り組みが影響し合うことでより大きなインパクトをもたらしているケースが多い。たとえば遠隔医療の現場では、ブロードバンド/モバイル化したクラウド基盤上の情報システムが患者をモニターし、不審な事象を検知すると即座に医療スタッフにアラートするといった活用事例が見られる。

【次ページ】 ITで年間600億ドルの付加価値
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