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ストレージ標準化団体SNIAのデビッド・デール会長へのインタビュー後編。前編では、高速なフラッシュメモリが低価格化でさらに普及していくのに加えて、フラッシュより10倍早い「パーシスタント・メモリ(Persistent Memory:永続性メモリ)」の実用化のメドが立ってきた点について聞いた。後編では「エキサイティングになってきた」というコールドストレージ(テープや光メディア、ディスク)の技術の進展や、2015年2月に発行されたばかりのセキュリティ標準「ISO/IEC 27040」などについて話しを聞いた。
前編はこちら
(聞き手は編集部 松尾慎司)
コールドストレージの世界はエキサイティング
──3つ目のトピックに移ります。フラッシュや永続性メモリなどの高速化の流れがある一方で、近年コールドストレージももてはやされています。
データ量が爆発的に増大すると、オンラインで保管するデータも当然増えますが、一方でめったに参照することがないデータも増えて来ます。これらを高速で高価なフラッシュに保管する必要はまったくありません。
このようなほとんど使用されないデータを保管する媒体の要件としては、長期にわたる信頼性があり大容量であることと、I/Oの遅延が多少あっても構わないということです。候補となる媒体は3つあって、1つ目はテープ、2つ目は光メディア、3つ目は低速で大容量のディスク装置です。
この3つに関して、それぞれ面白いロードマップが出て来ています。テープに関しては、アーカイブテープ。これは極めて大容量です。光メディアに関しても、DVDと比較して6倍ぐらいの大容量媒体が考えられています。ディスクに関しては、低スピンレートのシングルディスク(瓦書き磁気記録方式(SMR:Shingled Magnetic Recording)のディスク)が現在出てきています。
──具体的にはどのぐらいの容量になるのでしょうか?
テープの容量のトレンドは下図を見てください。
また、光メディア(Archival Disc)に関しては、300GB→500GB→1TBというロードマップが提示されています。
低速大容量ディスク(HDD)に関するデータはないのですが、現在SNIAジャパンの主導で、データのタイプごとにロードマップを策定しているところです。SNIAジャパンの貢献はとても大きく、従来のファイルシステムとは違ってオブジェクトをディスクに直接格納するオブジェクトディスクドライブに関するアイデアもアメリカに持ち込んでくれました。
テープなどのリニアファイルシステムの仕様を策定中のテクニカルワーキンググループもあります。この仕様は、まずSNIAの標準規格となって、その後ISOの標準規格となる予定です。メディアに依存せず、光にもシングルディスクにも対応ができる規格です。
フラッシュや永続性メモリなどの高速なメディアとは違った意味で、エキサイティングな領域だと考えています。
──コールドストレージが注目される理由の1つは、消費電力や熱量が小さいということもあるのでしょうか?
おっしゃる通りです。節電・省エネという点でも、コールドストレージは注目されています。
【次ページ】ストレージのセキュリティ標準「ISO/IEC 27040」
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