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- 2014/04/28 掲載
富士市産業支援センター 小出 宗昭氏が語る 中小企業支援の成功モデルとは
企業支援家 小出 宗昭氏インタビュー(前編)
中小企業支援のあり方を変える、小出氏
このf-Bizには、年間3000件を超える相談がある。静岡県内各地から相談が寄せられるとはいえ、全相談の7割を占める富士市の人口は、約26万人。その規模で、これだけの相談があるのは、まさに"行列のできる"支援センターと呼んでいい。そして、このf-Bizを立ち上げ、"行列のできる"支援センターへと育て上げた人物こそ、小出宗昭氏である。
小出氏は、もともと静岡銀行でM&A業務を担当していた。ところが、ある日、人事から呼び出され、「創業支援施設SOHOしずおか」というインキュベーション施設への出向を命じられる。それが、2001年1月25日のことだ。それから1週間後の2月1日、「創業支援施設SOHOしずおか」に出向した小出氏は、創業支援、起業家支援という未知の仕事に就く。
「それまで、M&Aのアドバイザリー業務も担当し、やりがいも感じていましたので、じつをいうと、起業家を育てたり、中小企業を応援するといった仕事には、まったく興味も関心もありませんでした」(小出氏)
ところが、小出氏に出されたこの1枚の辞令が、13年後のいま、日本の中小企業支援のあり方を、大きく変えようとしている。
なぜ日本のインキュベーションがうまくいかないのか
小出氏が出向した「創業支援施設SOHOしずおか(以下、SOHOしずおか)」は、13の部屋を持つ起業家を育てる施設だ。「インキュベーション(Incubation)=孵化」の意味のとおり、起業家という卵を温め、無事に孵化させる施設であり、小出氏は、ここで13個の卵を孵化させる責任者となったのである。しかし、すぐに「このプロジェクトはうまくいかない」と直感したという。
「センター長として赴任した私は、自分のミッションを『1人でも多くの起業家を生み出すこと』と考えていました。しかし、施設には13の部屋しかない。ただオフィススペースを提供して少数の起業家を育てるのでは効率が悪いのは明らかです」
オフィススペースを提供するのではなく、地域にいる起業したい人をSOHOしずおかに呼び寄せ、相談機能を提供したのだ。
さらに小出氏は、従来型の起業支援、たとえばビジネスプランの作り方をレクチャーしたり、決算書のチェックをしたりすることを、一切しなかった。「ビジネスプランの作り方は本を見ればわかります。また、決算書を見ても、ベンチャーなのだから問題点だらけに決まっているからです」
小出氏には、彼らにとって有益なサービスは他にあると考えていたのだ。それは、“起業家を徹底的に売り込むこと”。「SOHOしずおかでは、地域の中小企業の相談も受けるようにし、中小企業のネットワークに起業家達を当たり前のプレーヤーとして参加させたのです」と小出氏は語る。
小出氏の尽力により、SOHOしずおかには、地域の中小企業の経営者が相談に訪れるようになった。相談にくるということは、何らかの課題を抱えているということだ。そこで、課題解決のために起業家の力を使うことにした。その結果、起業家と中小企業のコラボレーションが生まれ、次々と成功事例を生み出していった。そして、小出氏の作り上げた起業支援・中小企業支援の仕組みは、徐々に注目を集めることになる。
【次ページ】中小企業が求めているのは“相談機能”
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