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  • 2013/10/09 掲載

グローバルコラボレーションが企業を変える――IBMの社内改革の実態に迫る

ソーシャルソフトを使った社内コラボレーションとは?

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ソーシャルソフトによるグローバルコラボレーション、ワークスタイルの改革が進んでいる。アクト・コンサルティングでは、今年、欧米大手企業の先進事例を調査した。これらの企業では、グローバルなコラボレーションによる仕事のスピードアップ、イノベーションの促進、グループ一体感の醸成などが進んでいる。効果は、想像を超えるものだ。現在日本では、一握りの企業がこの効果に気がつき、改革を始めたばかりだ。しかしグローバルコラボレーション、ワークスタイルの改革が、今後の企業変革の大きなムーブメントになることは間違いない。今回は、アクト・コンサルティング 野間氏が、先行して改革を進める先進企業の1社として、日本IBMの事例を紹介する。インタビューに応えるのは、日本IBMの社内改革推進者である、同社 BT/IT WEB統合企画 コラボレーション・エナジャイザーの八木橋 パチ 昌也氏だ。
執筆:大山 貴弘

ソーシャルソフトで、世界中の社員の知見や情報にアクセス

【野間彰氏(以下、野間氏)】
――IBMでは、次の100年、価値を出し続けるにはソーシャルのリーダーにならなければならないと言っているそうですね。

photo
日本アイ・ビー・エム
BT/IT WEB統合企画
コラボレーション・エナジャイザー
八木橋 パチ 昌也氏
ブログ:Pachi -the Collaboration Energizer-
【八木橋 パチ 昌也氏(以下、八木橋氏)】

 IBMのCEOのバージニア・ロメッティが、機会がある度にそう言っています。IBMが次の100年を、これまでの100年間と同じように、社会に重要な企業でいられるか否かの分かれ目は、ソーシャルが活用できるかどうかだ、と。私も、社内でソーシャルソフトを用い改革を進める中で、本当にそうだと実感しています。

【野間氏】
――ソーシャルソフトというと、プロフィールやコミュニティ、ブログやチャットなどのことですね。

【八木橋氏】
そうですね。IBMでは、TAP(Technology Adoption Program)という社内の実験場のような場所があるのですが、2000年頃から社員がTAPでいろいろなソーシャルソフトを作り、社内で使用してきました。これらのソーシャルソフトを統合し、一つのシームレスなツールとしてまとめ、社内改革に使っています。社内での効果を見定め、今は当社の製品「IBM Connections」として、お客様にも提供しています。

【野間氏】
――具体的に、ソーシャルソフトを使うことでどのような効果が生まれているのですか。

【八木橋氏】
ソーシャルソフトを用いた改革に成功すると、世界中から優れた専門性を持った社員をすぐに探すことができ、さらに世界の社員が生み出した知見や情報にアクセスし、再利用することが可能です。IBMの実例で申し上げますと、フランスで10億円規模のプロジェクトが発生した際には、そのプロジェクトを指揮できるスキルセットを持ったプロジェクトリーダーを、ソーシャルソフトを使ってたった3日間という短期間で見つけることができました。また、HTML5について知見を持つ社員が、HTML5について考えていることを自分のマイクロブログにつぶやいたところ、USと南米の技術者からコンタクトがあり、とある研究プロジェクトに参加することになったという事例もあります。

【野間氏】
――なるほど。八木橋さんもソーシャルソフトの効果を実感されることはありますか。

【八木橋氏】
私自身も、ソーシャルソフトを通じてこんな体験をしました。グローバルのエグゼクティブたちがWebミーティングをしており、ソーシャルソフトの議題になった際、私が「Connections」上に公開・共有していたチャートを使ってエグゼクティブの一人がプレゼンを行っていたのです。でも、後で「パチのチャートを使って発表させてもらったわ、ありがとう」とグローバルエグゼクティブから直接メッセージをもらって、モチベーションが上がりましたね。

photo
アクト・コンサルティング
取締役 経営コンサルタント
野間 彰氏
【野間氏】
――グローバルエグゼクティブから直接メッセージが来るというのはすごいですね。

【八木橋氏】
私も驚きました。実は先週、こんな事例も営業担当者から聞いています。ある企業様と商談をしていた際、「明日、社長の時間が取れる。資料を持ってきてくれ」と言われました。その時、営業担当者は社長向けに提案できる資料を持っていなかったのですが、慌てて「Connections」上で検索したところ、社長向け提案パッケージを作って公開している社員を見つけることができたのです。その社員とコラボレーションして資料を一部手直しし、お取引に繋げることができました。商談規模は小さかったものの、このスピード感は「Connections」ならではだと実感しました。

【野間氏】
――なるほど。そういった効果が今、世界のグループ内で起こっているのですね。そうしたワークスタイルの改革を、日本では八木橋さんが推進役で進めてこられた。

【八木橋氏】
はい。もともとグローバルに、未来の働き方を考える組織があったのですが、先ほどの社内でのソーシャルソフト統合時に、IBMでは「イニシアティブ」と呼ぶグローバルエグゼクティブが後見人となるプロジェクトとして2009年に正式に活動を開始しました。

【次ページ】リスクを恐れず、社内改革をチャンスと捉える
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