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- 2011/12/05 掲載
ソーシャルメディア革新(2):顕在化する4つの消費タイプと企業に求められるソーシャルメディア活用
B2CだけでなくB2Bも変えるソーシャルメディア
ソーシャルメディアが加速する4つの消費タイプ
前回ご紹介したコミュニケーションの変化やメディアの変化は、実生活にも大きな影響を及ぼしている。それが消費の変化だ。野村総合研究所 ICT・メディア産業コンサルティング部 主任コンサルタントの杉山誠氏は、消費の変化を引き起こすきっかけとなった要因を5つに分類する。
まず“情報伝達が容易になった”ことで、従来発信してこなかった「1.自分情報の発信拡大」をもたらし、さらにそれは「2.他人情報の取得容易化」をもたらした。
次に、情報伝達の容易になったことに加えて、“人との関係性を管理することが容易になった”ことで、周囲から認められやすい「3.自分中心の関係性構築」ができたこと、さらに対象や最終的な目的を定めない「4.“ゆるい”コミュニケーション」を実現し、多人数や有名人などとの「5.現実では難しい関係性の構築」を可能にした。
「ソーシャルメディアによって、たとえば目的もなくつぶやきながらも、心の奥底では何かしらの反応を期待している、というような“ゆるい”コミュニケーションが生まれた。また、疎遠になっていた学生時代の友人との関係の復活、といった現実ではなかなか難しい関係性の構築も可能にしている」(杉山氏)
これに伴って、新たな4つの消費タイプが生まれてきた。それが「ネタ消費」、「プレゼント消費」、「ゆる誘い消費」、「玉突き消費」だ。
1つめの「ネタ消費」は、「自分情報の発信拡大」と「自分中心の関係性構築」の2つの要因から生まれたもので、人にはアピールしたいという欲求があり、それを満たすような消費が生まれているということだ。
「たとえば地方の珍しいお土産を買って、写真と一緒に“こんなお土産を見つけた”とFacebookに投稿することで、繋がっている人たちから、“知らなかった”“今度買ってみよう”というようなコメントが入り、自分がコミュニケーションの中心に立つことができるというもの」(杉山氏)
さらにこのネタ消費は「隠れオタク型」、「エンターテナー型」、「自己顕示・自分追い込み型」、「愉快犯型」の4パターンに分けられる。
隠れオタク型は、自分の中に好きなものがあり、それをアピールしたいタイプ、エンターテナー型は先の例のように、コミュニティの中心的に立ちたいタイプ、自己顕示・自分追い込み型は、英会話やダイエットなど、自分一人では長続きしないものをソーシャルメディア上で見せることで自分を追い込み、消費活動を行うタイプ、愉快犯型は、“飲んだ後にラーメンを食べてしまった”というような話を書いて、知人から突っ込まれることも想定しながら喜ぶタイプだ。
杉山氏は、こうした「ネタ消費」だけの消費規模として、NRIが実施した「ソーシャルメディアの利用のアンケート」と総務省の「家計調査」から推計したところ、約3,400億円にのぼったという。
2つめの「プレゼント消費」とは、「他人情報の取得容易化」と「現実では難しい関係性の構築」から導かられるものだ。
「ソーシャルメディアによって、友人がどんなものが好きか、あるいは今どんなものを欲しがっているのかということが分かる。それによって、新たにプレゼントのための消費が生まれていると見ている」(杉山氏)
プレゼント消費もさらに「おひとついかがギフト」、「あいさつギフト」、「外さないギフト」の3パターンに分類できる。
おひとついかがギフトはまとめて買ったもののおすそ分け、あいさつギフトは日頃のコミュニケーションの一環としてのプレゼント、外さないギフトは、まさに相手の欲しいものが分かるからこそできるプレゼントだ。
「実はおひとついかがギフトとあいさつギフトは、昔はよくあった消費パターンだが、時代の移り変わりとともに少なくなってきた。それがソーシャルメディアによって、また復活してきた」(杉山氏)
このプレゼント消費の規模感は、現時点で約1,700億円。
【次ページ】既存のコミュニケーション手段を代替し始めたソーシャルメディア
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