0
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
国内中堅中小企業コンプライアンス関連IT市場支出額規模(コンプライアンス対策目的で導入するハードウェア、ソフトウェアおよびITサービスを含む)は、2010年が1,899億円、2011年が1,959億円(前年比成長率3.1%)で、2015年には2,542億円へ拡大すると予測した。
IDC Japanは1日、国内の従業員数999人以下の中堅中小企業市場におけるコンプライアンス関連IT支出額予測を発表した。これによると、国内中堅中小企業コンプライアンス関連IT市場支出額規模(コンプライアンス対策目的で導入するハードウェア、ソフトウェアおよびITサービスを含む)は、2010年が1,899億円、2011年が1,959億円(前年比成長率3.1%)で、2015年には2,542億円へ拡大すると予測した。2010年~2015年の年間平均成長率(CAGR:Compound Annual Growth Rate)は6.0%で推移する。
財務分野では、「新成長戦略」の一環として財務報告に係る内部統制制度の見直しが実施され、国際財務会計基準(IFRS)の強制適用時期延期に関する論議が行われるなど、株式上場を目指す成長志向の中堅中小企業にとって、実態に即したコンプライアンス対策を推進しやすい環境が整備されつつある。
また、中堅中小企業の大半では法人税法の確定決算主義に準拠した会計処理を行う形態が一般的で、さまざまな財務会計基準の改正の影響が法人税制に直接及ぶことから、税務コンプライアンス管理業務の効率化を目的としたIT利活用へのニーズも高まり、財務分野のコンプライアンス関連IT支出は堅調に推移するとみているという。
他方、財務以外の分野では、東日本大震災の教訓を踏まえた事業継続管理(BCM:Business Continuity Management)/災害復旧計画(DRP:Disaster Recovery Plan)への対応が注目されている。
中堅中小企業の場合、同一スタッフが複数の基幹業務を兼務する形態が一般的であり、パート/アルバイト社員への依存度も高い。そのため、BCM/DRPの前提となる業務プロセスの標準化、可視化を行うためには、人事コンプライアンス管理基盤の整備が必須であり、その上で、企業組織の成長段階に合わせた社内情報共有システムの構築/増強が進み、クラウドサービスを有効活用した中堅中小企業向けのコンプライアンス/セキュリティ管理業務支援ソリューションの利用も拡大するとみているという。
東日本大震災の教訓から、クラウドサービス利用への関心が高まっているが、外部プロバイダーの契約管理、セキュリティ上の責任分担など、法的/制度的な課題点が、中堅中小企業における普及の阻害要因になっているとIDCは指摘している。
「ITベンダーは、監査法人/会計事務所、法律事務所、第三者認証機関などと連携しながら、クラウド環境に対するコンプライアンス/セキュリティ管理を標準化、効率化するために、中堅中小企業の実態に即したSLA(Service Level Agreement)策定ガイドラインなど、共通の制度的な仕組み作りを積極的に推進すべきである」(IDC Japan ITスペンディング リサーチマネージャー 笹原 英司氏)
今回の発表はIDCが発行したレポート「2011年 国内中堅中小企業IT市場 コンプライアンスとIT利活用調査:守りから攻めの経営へ」(J11120107)にその詳細が報告されている。
評価する
いいね!でぜひ著者を応援してください
会員になると、いいね!でマイページに保存できます。
関連タグ