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  • 2011/06/21 掲載

クラウド・サービス仲介事業(CSB)はSIerの新しい形になるか?

クラウド普及期における新しいビジネス形態

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クラウドコンピューティングは、初期のころに懸念された課題も少しずつ改善され、確実にビジネスの現場に浸透してきている。震災を契機にBCP(事業継続計画)やDR(災害復旧)といった側面からも見直されるなど、急速に普及期に突入しつつある。こうした中で昨今台頭してきているのが、新しいビジネスモデルとしてのクラウド・サービス仲介事業(CSB:Cloud Service Brokerage)だ。

受け入れが広がるクラウド

photo
野村総合研究所
イノベーション開発部
上級研究員
田中達雄氏
 2年ほど前のSaaS・クラウドブームのときのように、期待と警戒心が混ざったような騒ぎは収まっているが、用途や目的ごとにパブリック、プライベートクラウドを使い分けるなど、ユーザー企業側のスキルも向上するのに伴い、企業システムのクラウド化は着実に進んでいるとみてよいだろう。

 しかし、普及に際しては当然のごとく新しい問題も浮上してきている。さらに、それを追うかのように、新しいクラウド・サービスのモデルの萌芽も現れているようだ。

 クラウドがソリューションのひとつとして定着しつつある現在、企業システムのトレンドと新しいアプローチについて解説するセミナー「クラウド時代のアプリケーション構築 ~SaaS利用拡大に伴う課題と解決に向けたアプローチ」が「ITロードマップセミナー Spring 2011」において行われた。

 講演したのは、野村総合研究所 イノベーション開発部 上級研究員 田中達雄氏。田中氏は、まず、いくつかの統計情報を見ながら、日本や海外でのSaaSの利用状況の推移や適用範囲の違いやクラウド市場を取り巻く状況を解説した。

 それによると、日本におけるパブリッククラウドの利用状況は、試用も含めて19.1%(試用経験:6.6%、利用中:12.5%)という。これに対して、米国は46.4%の企業が利用しているという結果だった。ただし、米国の場合、試用経験と利用中の割合は、それぞれ22.9%、23.5%とほぼ半数ずつの構成。さらに中国ではこれが38.5%(試用経験:21%、利用中:17.5%)だそうだ。中国では、ITの普及がここ数年で急速に進んでいるため、他の先進国のようなレガシーシステムが存在しない状態のため、クラウド選択のハードルが低いのではないかと田中氏は分析した。

 将来予測の部分では、日本でもSaaS利用率は2010年の2.2%から2013年には13%まで上昇するだろうと同社の調査結果をもとに予測。また、米フォレスターリサーチの調査では、同じ2013年には世界のソフトウェア収益の17%はSaaSが占めるようになるという。このとき、ひとつの企業が複数のSaaSを利用する形態が増えてくることも特徴になるという。

 SaaSの適用業務について、日本は電子メールが9.2%でトップ。一方で生産管理・在庫管理、ERP、SCM、BIといった基幹業務系での利用が低い(それぞれ1%以下)。米国は、電子メール、SFA/CRMの利用がどれも7%以上と高く、さらにERPが5.5%、SCMが6.2%と基幹業務系の利用も進んでいる。参考として、中国での利用率も示されたが、こちらは電子メールで27.2%と圧倒的に高く、その他の業務系も軒並み10%を超えるなど高い利用率を示していた。

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パブリッククラウド利用率の日米中比較
(出典:野村総合研究所,2011)
画像
SaaSを利用している割合
(出典:野村総合研究所,2011)

【次ページ】クラウド普及で注目されるCSBはSIerの新しい形になるか
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