- 2011/04/27 掲載
楽観視は危険、ITRが緊急提言 企業のIT部門が電力危機を乗り切るには?
特に中堅中小企業では、オフィスビルの一角を改造したサーバルームを利用する例も多く、自家発電機を備えていなければシステムの稼働停止を余儀なくされる事態も発生するとみる。こうした脆弱性を抱える企業は、安定した電力供給が期待できるサイトへのサーバ機器の待避や遠隔二重化を検討するか、停止を前提としたその後のシナリオを作るという選択をしなければならない。これに先立ってIT部門は、継続運転が必要な優先システムの特定を急ぐべきとしている。
一方、自家発電機を備えている企業であっても、十分な需要予測と稼働検証を行い、安定稼働に備える必要があるという。万一、計画停電が実施されることになれば、シャットダウン、停止、再起動・動作確認に至る都合4時間程度のシステム停止が断続的に発生することになるからだ。この停止を許容するにしても、サーバ機器のシャットダウン手続きを明確化し、正常な再起動を担保することは最低限必要となると指摘している。
また、商用データセンターへの移設は、地震対策だけでなく電力対策としてのニーズも高いため、現在主要なデータセンター事業者は案件対応が急増しているという。また、計画停電や想定外の停電に対しても、自家発電機を備え燃料会社との優先契約を行っているため、サーバ機器を預けることは最も有効な対策のひとつとなる。
セカンダリ・サイトでのシステム二重化による業務継続対策についても現在急速に需要が増しているため、プライマリ・サイトが関東圏の場合は、セカンダリ・サイトは大阪・名古屋以西に構築することが賢明な選択だとする。
サーバ移転・二重化に際しては、西日本を重視する傾向が金融業以外の業界でも一般化しつつあるという。しかし、関東圏に比べて、大阪を中心とする西日本のデータセンターはそもそも数が少なく、データセンター事業者の敷設面積を比較しても大阪は東京の1割にも満たないと推測され、大阪のデータセンターは近く需要過多となるとみる。これにより、長野、名古屋、神戸、福岡といった他の60Hz圏の主要都市のデータセンター活用が進むと予想している。
これらを受けて、ITRでは特に東京23区を除く関東圏は影響を受ける可能性が高く、夏季までの時間はすでに限られていることから、自家発電装置のないデータセンターを運用するIT部門は最小限の暫定施策しか行えない点を意識すべきであると提言。
他方、堅牢なデータセンターでの運用やセカンダリ・サイトの構築を行っている企業は、電力危機に対して一定の保険を得ているという。しかしその場合でも、自家発電装置の安定操業が期待できるか、燃料の優先契約や配送ルートは確保できているか、といった観点から残余リスクを評価し、緊急時に備えて十分な準備を進めておくことが必要だとしている。
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