米Aruba Networks COO ヒテシュ・シェス氏
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高速な通信環境が整備され、iPhoneやiPadといったモバイル端末が普及する今、会社のデスクに縛られたワーキングスタイルは以前にも増して最適とは言えなくなっている。またクラウドの概念・技術は、リモートネットワーキング環境にも多大な影響を与えるはずだ。設立8年目の新しい企業ながら、無線通信インフラのマーケットで世界第2位のシェアを誇る米Aruba Networks(アルバネットワークス)のCOO、Hitesh Sheth(ヒテシュ・シェス)氏に、リモートネットワーキングの最新動向について話を聞いた。
モバイルを先進的に利用する個人が多い日本では、
オフィスのモバイル環境改善に対する潜在的な需要が大きい
──米Gartner(ガートナー)などの調査によると、リモートネットワーキング市場は大きな成長が見込まれています。その背景についてどうお考えですか?
大きく4つの要因があると思います。1つは、ブロードバンドが一般的になり、リモートネットワークにおいても容易に使えるようになったことです。2つめは、「iPhone」や「iPad」をはじめとするモバイルデバイスが普及してきたこと。そして3つめは、最大伝送速度の理論値が600Mbps(国内では300Mbps)というIEEE802.11nのように、非常に高速な無線通信技術が浸透してきたことです。これらの技術を使うことで、ユーザーは机に向かって働くことからから開放され、どこに行っても、動き回っていても必要なアプリケーションにアクセスできるようになりました。最後の1つとして、データセンターの統合の流れ、というのも挙げられます。
──市場を日本に限定した場合、特徴的な点はありますか。
日本では、モビリティ市場がとりわけ特徴的だと感じます。モバイル端末や携帯電話の使い方が、ほかの国に比べて非常に先進的ですね。また面白いのが、ビジネスユースよりもホームユースのほうでより先進的に使われていることです。個人の携帯電話を使って、Web経由でさまざまなサービスを利用したり、自宅に帰れば高速な無線通信環境を有しているような人でも、会社に出社すると十分なモバイル環境が整っていない、というのが実態ではないでしょうか。
個々人のモバイル端末や無線通信に対するリテラシーが高いので、オフィスでのモバイル端末の利用形態も、家庭でのそれに追いついてくるでしょう。家庭と会社の環境に大きな差がある現状では、企業のモバイル環境・リモートネットワーキング環境の整備に対する潜在的な要求や需要は大きいはずです。こうしたことを考慮し、弊社としては日本のマーケットに対して大きな期待を抱いています。
──具体的にどのような企業に、高度なリモートネットワーキング環境は必要となるのでしょうか。
どの業種においても、一定の規模を持つ企業であれば、リモートネットワーキングやリモートアクセスを検討すべきだと考えています。例えば流通業や小売業においては、多くの出先機関や支店(ブランチ)を有しており、そこから企業のデータセンターにある情報にアクセスする必要があります。また、大学などの教育機関においても、生徒や教員が自宅にいながら必要なデータにアクセスできるといった環境が重要になってくるでしょう。従って、快適なリモートネットワーキング環境に対する需要は、業界や業種を問わないものだと考えています。
先ほども言いました通り、モバイル端末の高性能化や通信速度の向上、データセンターの統合といった流れがある今、古くて遅くて複雑なリモートネットワーキング環境は、仕事や教育の効率を著しく低下させます。現在リモートネットワーキング環境を持たない企業や機関はもちろんですが、もし今利用している環境に不満があるなら、再検討するのにふさわしい時期ではないでしょうか。
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