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  • 2010/03/09 掲載

【連載】情報セキュリティの投資対効果を追求する(20)これからのリスクアセスメント[1]

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これまで、情報セキュリティの分野において投資対効果を論じることはタブーとされてきた。その結果として管理策を導入していながら事故を起こしてしまうケースが続発しているのは、ご存じのとおりだろう。ここにきて、情報セキュリティの分野において“有効性”というキーワードが注目されるようになってきた。何のための情報セキュリティなのか、ローブライトコンサルティング 代表取締役 加藤道明氏が論じる。第20回は、これからのリスクアセスメントについて考察する。
執筆:加藤 道明

これからのリスクアセスメント[1]

 ISMSの監査において、インタビューした内容と作成されているドキュメントが一致しないケースが多い。特にリスクアセスメントのレポートが現場の実態と一致しないケースが多く見られる。たとえば、外出中におけるパソコンの置き忘れや携帯電話の紛失などを、業務上想定されるにも関わらず脅威として特定していないケースが多い。

 費用削減が大幅に求められる時代、今回は投資対効果の視点で、これからのリスクアセスメントはどうあるべきかについて考察してみたい。

「論理的に説明できる」ということは安心感を与える

 リスクアセスメントのレポートは無用の長物ではない。リスクアセスメントのレポートは自社の事業にどんな脅威が想定でき、それに対しどう対処するのかをまとめたものである。従業員に対してなぜその対策が必要かを示す資料であると同時に、顧客を含む利害関係者に論理的に説明する資料でもある。「論理的に説明できる」ということは安心感を与えることにつながる。リスクアセスメントのレポートは経営陣、従業員、顧客に対して安心感を与える根拠とみることができる。

画像
図1:「脅威」とは


身近な脅威が見て取れるレポートが良い

 リスクアセスメントというと膨大なレポートを想像する方も多いだろう。実際そういった組織が多い。しかし、これからのリスクアセスメントは量ではなく、質にシフトしていくであろう。膨大な量のリスクアセスメントを必ずしも否定する訳ではないが、先にも説明したとおり、リスクアセスメントのレポートが従業員や顧客を含む利害関係者に論理的に説明する資料だとするならば、聞きたいポイントが埋没してしまうようなレポートでは効率が良くない。現場の実態から見て想定しにくい脅威をたくさん並べるよりも、身近な脅威が見て取れるレポートが良いことは言うまでもない。

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