- 2009/12/09 掲載
【古川健介氏・和田修一氏インタビュー】“WEB2.0時代のCGM”「ナナピ」のおもしろさ(2/2)
和田氏と古川氏 |
古川氏■投稿の数としては想定通りくらいか、ちょっと少ないくらいです。内容に関しては、もう少し基本的なHowtoが集まればいいかな、と思っています。自分にとって当たり前のことだと、わざわざHowtoを書いて投稿する価値がないと思ってしまう人が多いんです。でも、知らない人にとって、それは価値のある情報なんですよね。「アイロンのかけ方」でもいいですし、「会社の立ち上げ方」や「訴状が届いたときの対応方法」なんかも知らない人は多いと思います。
極端な話、「エレベーターの乗り方」でもいいんですよ。エレベーターに乗ったことのない人は、エレベーターの乗り方は知りませんよね? でも、ネットで調べてもエレベーターの乗り方は出てきません。だからといって、知らないことで行動が制限されるのは、あまりいいことじゃない。
僕は自分の頭で考えるのは非効率だと思うタイプなんです。たとえばエレベーターの乗り方を一から自分で考えるのはムダですよね。頭のいい人が考えた良いやり方があるのなら、それを学んだほうが早い。その上で、自分なりの工夫をしたほうがいい、という気持ちが強いんです。
――今はちょっとひねったアイデアの投稿が多いですよね。
古川氏■『伊東家の食卓』のような感じになっていますよね。これからモバイル版を作る予定なのですが、そこでは投稿のハードルを意図的に下げていこうと考えています。
和田氏■「ナナピ」に関してはかなり丁寧に作っているので、新規に何かを作るときでも、既存の部分を作り直す部分がほとんどないので、あまり大変ではないと思っています。まぁ、これから何が起こるかはわかりませんけどね(笑)。
――古川さんと和田さんが気に入っているレシピはありますか?
和田氏■個人的に、一番実践したのは「おいしいカレーうどんの作り方」です(笑)。すごく簡単で、インスタントカレーとインスタント牛丼の素を合わせて鍋で温めるだけなんですよ。これがけっこうおいしくできるんですよ。
古川氏■僕は「恋人のケータイチェックを監視する方法」ですかね(笑)。楽天球団を作った方が書いてくれた「プロ野球球団の作り方」も人気ありましたね。
――「ナナピ」はCGMですが、古川さん、和田さんから見て、CGMの現状というのはいかがお考えなのでしょうか?
古川氏■いわゆる、ITの先進的な人はCGMに興味を失っているでしょうね。今は、たとえばマネタイズのかたちが見えやすいソーシャルゲームなどのほうに興味がある人が多いのではないでしょうか。それに対して、CGMはあまり儲からないよね、という感覚がIT業界にはあります。当たるか当たらないかもわからないし、運営も大変だから、わざわざ自分たちでやらなくてもと考えている人は多いと思います。
ただ一方で、クライアントになりそうな大きな企業にいくと、今くらいになってやっとCGMに対しての理解ができてきた、という状態。特に決裁権があるような年配の方にとっては、ソーシャルゲームのような新しすぎるものより、CGMのほうがウケがいいんです。
和田氏■個人的には、CGMとかSNSとかって分類で流行る、流行らない、を考えるのはちょっと論点が違うんじゃないかな、と感じています。ウェブの世界というのは、データを誰かが突っ込んで、それを誰かが引き出す、という意味ではゲームもCGMも変わらないと思うんですよ。CGM全体がダメというよりも、そのサービス自体がダメなんじゃないかと僕は思っています。
古川氏■「ナナピ」は、いわゆる“WEB2.0時代のCGM”というものを想像すると、一番近いものだと思うんです(半笑い)。ロケットスタートは日本最後のWEB2.0企業ですから(笑)。いまだにWEB2.0が何か、よくわかっていないんですけどね(笑)。
和田氏■半年前ぐらいは「クラウド、クラウド」ってみんな言っていましたけどね(笑)。僕はシステムの下のほうでずっと働いていたので、大嫌いな言葉だったんですけど。最近、やっと落ち着いてきましたかね。
――今後はどのようなマネタイズを考えているのでしょう?
古川氏■現時点ではいろいろ試している、というのが現状ですね。Howtoをこちらで作り、先方のウェブサイトに掲載するという方法はすでに行っています。Twitter公式ナビゲーター「twinavi」さんのHowtoの一部は「ナナピ」になっています。
たとえば、大きなサイトだとわかりやすいHowtoを掲載しようと思っても、サイトの中身を変えるのに何週間もかかってしまったりします。そこでナナピのような外部のサイトに作ってもらえば、そこにリンクするだけでいいので簡単なのです。
――どんなことでも「ナナピ」にかければ7分で説明してみせるぜ、ということですね(笑)。今後のどのような目標を掲げていくのでしょうか?
古川氏■まずは、コンテンツを増やし続けることですね。ヘビーユーザーが集中して投稿するというより、それぞれが持っている“それなりの”知識を出し合っていけるような場所になってほしいと考えています。ご立派な知識じゃなくてもいいんですよ。上手な段ボールの縛り方とか、読んでみたいですからね。
(取材・構成:大山くまお)
●古川健介(ふるかわ・けんすけ)
株式会社ロケットスタート代表取締役社長。
ブログ:ロケスタ社長日記
●和田修一(わだ・しゅういち)
株式会社ロケットスタート最高技術責任者。
ブログ:UNIX的なアレ
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