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米ガートナーのリサーチ部門の最高責任者、シニア バイス プレジデントのピーター・ソンダーガード氏は、IT投資について「底はうった」との見通しを示した。ソンダーガード氏によれば、新興国などが下支えする形で、2010年には成長軌道に乗るという。また、同氏はITリーダーが2010年に注目するべき3つの新テクノロジーを紹介した。
2010年にはポジティブな成長
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米ガートナー
シニア バイス プレジデント (リサーチ部門最高責任者)
ピーター・ソンダーガード氏
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ガートナーは、米リサーチ部門の最高責任者、シニア バイス プレジデントのピーター・ソンダーガード氏の来日に伴い、プレス向けのセッションを実施した。
ソンダーガード氏はまず、2009年を「すべてのセクターで最悪の年になった」と振り返る一方で「今こそ成長戦略を描くべき時」と指摘。「コスト、リスク、成長戦略のバランスが重要」だと語った。2009年第3四半期のガートナーの調査によれば、新興国を中心とした需要に下支えされ、年成長率見込みが2%から3%に上方修正。2009年の第3四半期に経済不況は底を打ち、2010年になれば、成長がポジティブな形で戻ってくるという。
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2009年第3四半期IT投資の概況、新興国がリカバリを牽引
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ERPやCRMなどのエンタープライズの中核的ソリューションへの関心が8月頃から回復。不況で大きく減少・凍結された大型案件や長期契約に対する関心も見られているという。
さらにソンダーガード氏は、一般のコンシューマーが支出をする通信業界に注目すべきとし、同市場はスマートフォンなどが牽引する形で、最初にリカバリ傾向が見られるとした。その後PC市場などが回復し、さらにその後サーバなどの企業向け製品の市場が回復してくるとの見通しを示した。こうした一連の流れについて、「コンシューマーによって牽引されるITという状況は変わらない」と語った。
また、日本国内のIT投資を牽引するのは、資本投資(設備投資)ではなく、運用コストだと指摘。クラウドコンピューティングへフォーカスされることでそれに拍車がかかるという。一方で、ガートナーのハイプサイクルによれば、クラウドは現在「過度な期待のピーク期」にある。この点についてソンダーガード氏は、現状のクラウドは、中にあるものを外に出す流ればかり注目されているが、それだけでは「幻滅期を迎えてしまう」という。それとは逆の流れ、外にあるものを中に取り入れていくことで、クラウドは大きなパラダイムシフトにつながっていくと指摘。ガートナーのWebサイト上での検索も昨今では「Cost」という単語を除いて1位になるなど、注目は高いという。また、このクラウド化の流れについて、日本で一番影響を受けるのは中堅中小企業だとした。
垂直的な業界で見てみると、ヘルスケアや政府系投資の回復を指摘。中でもオバマ大統領が注力するスマートグリッド敷設に伴う公共事業などにより、2010年は政府のIT支出が下支えする見通しを示した。
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