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  • 2009/11/02 掲載

原口一博総務大臣主催の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」が初会合

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原口一博総務大臣主催の「グローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォース」は30日、第1回会合を開催した。会合では、日本綜合研究所の寺島実郎 会長や一橋大学大学院 山内弘隆教授、経済評論家の勝間和代氏、NTTの三浦惺社長、KDDIの小野寺正社長兼会長、ソフトバンクの孫正義社長など、学者や識者、ICT企業の経営者が一堂に集まり、それぞれの立場で意見を述べ合った。
 今回が初会合となったグローバル時代におけるICT政策に関するタスクフォースは、「過去の競争政策レビュー」「電気通信市場の環境変化への対応検討」「ICT産業全般の国際競争力強化検討」「地球的課題などの解決への貢献検討」の4つの部会から構成され、グローバルな視点から現在の環境変化に対応した競争政策を見直し、ICTの活用により、日本や諸外国が抱える経済的、社会的課題の解決に貢献していく政策を検討することを目的としている。

 各部会の構成員は8~10人で、総勢36人と、前例のない大所帯で構成される。また、構成メンバーも、日本綜合研究所の寺島実郎 会長やNTTの三浦惺社長、KDDIの小野寺正社長兼会長、ソフトバンクの孫正義社長、パナソニックの大坪文雄社長などの民間企業のトップのほか、一橋大学大学院 山内弘隆教授、経済評論家の勝間和代氏、、ジャーナリストの町田徹氏、慶応義塾大学 国領二郎学部長ら、そうそうたるメンバーが集結した。

 初会合は原口総務相の話から始まった。

「日本は世界最高のブロードバンド環境を持っている。そのなかでまだ足りないところは何なのか。世界の人々と一緒に(ICTを活用した豊かな社会を)作っていくためには何をすればいいのか。そのことも合わせて議論していただきたいと思う。

 このタスクフォースが結論を出してから何か動くというものではない。その時々においてそれを即実行していきたい。もちろん、即実行すればまずい分野もあると思う。人権や人間の尊厳に関わるところは慎重な議論が必要。しかし、それ以外できることはすぐにやっていけるように頑張っていきたいと思う」。

「ICTという技術やサービスは全国に等しく、誰もが自由に選べるような環境がきちんと確保されなければいけない」法政大学大学院 黒川和美教授

 原口総務相の話に引き続き、各部会の座長による所信表明が行われた。

 過去の競争政策レビュー部会は、電気通信市場の自由化、電電公社の民営化以降の競争政策の効果を検証する。座長の法政大学大学院 黒川和美教授は次のように述べた。

「1975年に電電公社が民営化されて、あっという間に30年が経った。75年当時考えていたのは、NTTという一つの企業に、力量を持った技術者などが40万人以上いて、新しい技術が次々に広がっていこうとしているなかで、その人たちがいくつかの会社に分かれて、能力を生かしながらさまざまな分野で競争が生まれるようにするにはどうすればいいのかということ。

 その後、徐々に新しい分野の産業が生まれ、そのなかにニューカマーの企業がいくつか出てきた。そのプロセスで私たちが心配していたのは、まだ十分に成熟していないニューカマーの存在をある程度サポートする形で、ドミナントキャリアのNTTとどう関わりを持たせるかということ。

 また、徐々にニューカマーの力量が高まってくると、今度はサービスが全国に行き渡るようにしようということでユニバーサルサービスの問題や、誰もが自由にキャリアを選択できるようにということでナンバーポータビリティーの議論をしてきた。最近まで私が関わっていたのは、デジタルデバイドをなくそうということ。そのためにどういうことが可能だろうかと一生懸命考えてきた。

 このように、私自身が携わってきたことを振り返ってみると、いつも確信を持ってこうしようと決められなかったという意識がある。ニューカマーの企業が十分に成熟しているかどうかということはいつも不安だった。新しい技術を持った企業や人がどういう形でこのマーケットに入ってくるかということに関しても、うまくいくかどうか、いつも恐る恐るやってきた。

 だが今日、原口大臣の話を聞いて、もうそういう時代は一気に変わった。次の段階に入ったんだという印象を強く持った。ICTという技術やサービスは全国に等しく、誰もが自由に選べるような環境がきちんと確保されなければいけない。これまで、30年を超える時間のなかで、そんなことを考えたことがあるのかと問われた気がする。

 もちろん考えてきたつもりだが、それを前面に押し出していこうということはなかったと思う。ある時はどちらの企業が有利であるかどうかや、ほんのわずかな数字の違いでどの企業は有利かということに関して気を回しながら、皆が納得するようなプランを作ることばかり考えていたような気がする。

 だが今日、これからは自信を持ち、過去の経験を上手に生かして日本のICT技術を広め、アジアや世界のために貢献しなさいと言われた気がした。部会には有力なメンバーを揃えてもらった。この方たちに率直にこれまでの30年あまりの動きを総括してもらい、これからどんな風にしていったらいいかという足がかりにするための議論を行っていきたい」。

「国際的な競争力を担えるような環境をいかに作るか」一橋大学大学院 山内弘隆教授

 電気通信市場の環境変化への対応検討部会は、日本の電気通信事業者が国際市場で活躍できるようにするため、世界で通用するルールのあり方を検討する。座長である一橋大学大学院 山内弘隆教授は、次のように語った。

「電気通信市場の環境変化への対応ということで、4つの論点を提示してもらっている。1番目の問題は『インターネットのオープン性の確保のあり方』だが、要するに上位のレイヤーの企業が自由に活動して、国際的な競争力を担えるような環境をいかに作るかということだと思う。そのためにインターネットのオープン化があるような気がする。

 2番目は『サイバーアタックへの対処を含めた安心・安全なインターネットの実現』だが、マーケットだけではうまくいかないところが残されていて、それを我々が政策としてどこまで補完していくかということだと思う。特にサイバーアタックという技術的に高度なものに対して、いかに阻止するのかというのが大事。これをこの環境変化のなかでどういう風に位置づけるかというのも大きな課題になると思う。

 3番目は『ユニバーサルサービスのあり方』。現状では音声通信のユニバーサルサービスが基本になっているわけだが、環境変化のなかでそれをどこまで拡張していくのかということがある。特にブロードバンドのユニバーサルサービスをどこまで達成していくのか。それと同時にユニバーサルサービスの問題は費用負担だと思っている。

 4番目は『国民のコミュニケーションにおける権利保障のあり方』。特にデジタル社会のなかでコミュニケーションの権利保障をどうしていくかということが大切。デジタルデバイドの問題がその1つで、こういったことを議論したい。

 自由化と公的関与のあり方を改めて問い直すというのが我々に課された課題だと思う。放送と通信の融合の問題もあるし、NTTのあり方も将来的にはいろいろ問題になるなかで、それらをどう解決していくかということを議論していきたい」。

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