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- 2009/06/05 掲載
【連載:第4回】デジタルネイティブ世代を育てる<1:n>のクラウド化システムと<n:1>の育成システム
【連載】「金融恐慌の後に新しい市場価値を創出する次世代人材の姿」
「ゆとり世代」と呼ばれて戸惑う
平成生まれのデジタルネイティブ世代
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彼らはバブル期と呼ばれる日本の高度経済成長期に生まれ、ものごころついた頃には平成不況による商品やサービスの低価格化したデフレ時代に突入し、大量消費社会でありながら高価格な商品やサービスを好まないという社会で育ってきた。また、Windows95が発売されたころに小学校に入り、中学・高校時代には、インターネットが身近な存在で、情報を「検索」し入手してきた。さらに、携帯電話の普及により、家族や友人など、必要な人と電子メールを通じてコミュニケーションをとり、好きな音楽は携帯型音楽プレーヤーで持ち運び、好きな時に聴くというのが日常の世代。
このように、彼らが過ごしてきた環境を書き並べただけでも、これまでの世代とは多くの違いがあることが明確だ。しかし、彼らにとってはそれが自分たちの世代の感覚であり、そこに私たち世代の人間が違和感を覚え、戸惑ったとしても、当然であろう。この感覚の違いを認識し、「デジタルネイティブ世代」とも言える彼らの特性をうまく引き出すことが、次世代の人材育成のキモだと考えている。
デジタルネイティブ世代が配属される組織の現状
デジタルネイティブ世代の育成方法を考える前に、ちょっと気になることがある。彼らの前の世代(20代の若手の社員)も何だか元気がないという声が聞こえてくるのだ。入社時に導入教育を行ってもらい、現場に配属された後、「メンター制度」「ブラザー(シスター)制度」「エルダー制度」といった育成担当者をつけて、現場OJTを行っているにもかかわらず、若手社員は思ったように育っていないと感じているケースが多いようだ。これは、先輩社員と若手社員の意識にギャップが生じていることが原因で、このギャップは、まさに成長過程の認識の違いであろう。育てる側は「自分たちが若手の頃は、先輩と一緒になって仕事をする中で、与えられた仕事や課題は必死で考え、徐々に仕事を覚えていった」という感覚が強いのだが、一方の若手社員は「早く一人前になりたいので、仕事のやり方を早く教えてほしい。課題を与えて“考えさせる”なんて面倒なことをせずに、仕事の“やり方だけ”をすぐに教えて」という感覚だ。
また、成果主義の導入や人員削減などで、他人の面倒を見る余裕がない、もしくは長期にわたる新卒採用の抑制で部下や後輩が少なく「育成経験のない社員」も増えており、こうした背景から、これまで当たり前だった「現場教育」が、今では危機に瀕しているようだ。
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