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  • 2009/02/23 掲載

関西大学 教授 鵜飼康東氏インタビュー:迷惑メールによる経済的影響とその対策

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2008年3月、迷惑メールが日本経済におよぼす影響は約8,200億円、という試算が発表されて話題になった。その試算を行った研究会で座長をつとめたのが関西大学ソシオネットワーク戦略研究機構・機構長 教授 鵜飼康東氏だ。鵜飼教授は、迷惑メールの影響が思った以上に甚大で、企業の活動や日本経済全体に対して多大な悪影響を与えていると指摘する。

迷惑メールが日本経済に与える
影響を計量経済学の手法で推計


関西大学
ソシオネットワーク戦略研究機構・機構長
総合情報学研究科 教授
鵜飼康東氏

 「迷惑メールによる被害相談、たとえば迷惑メールにより詐欺に遭ったと思われた方は、まず警察に駆け込み、その後民事事件という扱いを受ければ弁護士に相談していました。市区町村などの地方自治体の消費者相談窓口も対応していましたが、徐々にその相談件数が増えており、現場レベルでは重大な問題だと認識されてきていました。その一方、中央省庁などでは、迷惑メールの問題の重大さに気づいていた方は少なかったように思います。」

 関西大学 ソシオネットワーク戦略研究機構・機構長・総合情報学研究科 鵜飼康東教授は、市民レベルで迷惑メールの問題が表面化してきていた当時をそのように振り返る。

 迷惑メールにより、多くの人々や企業が被害を被っていることは、間違いのない事実となりつつも、その一方で具体的にどの程度の被害があるのか、さらにそれが日本の経済にどのような影響を与え、どのように国民生活が毀損されているのかを、合理的に分析するための基準を見直す必要があった。そうした要望を受けて設立されたのが「迷惑メールの経済的影響・調査研究会」である。同研究会の設立は大きく2つの背景があったと鵜飼教授は語る。

「1つは説得力のある根拠を示して、国会議員の皆さんに法律改正の必要性を理解してもらう必要があったこと。そしてもう1つは、法律に違反した場合の罰則の根拠となる被害額を算定する必要があったということです。」

 迷惑メールが社会問題になった以上、それを取り締まる必要が出てくる。結果として、特定電子メール適正化法(特電法)や特定商取引に関する法律(特商法)、割賦販売法などが制定、改正されるのだが、これらの法律の根拠となる被害額を推計しようというのが、同研究会の主たる目的であったのである。

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