- 2008/05/29 掲載
3つの見える化で失敗コストを激減「顧客満足度No.1」を目指す--NECソフト 社長 国嶋矩彦氏
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現在の日本では、インターネットの普及が急速に進み、さらにブロードバンド世帯普及率は半分を超えたと言われています。ネットワークの進歩が顕著になっている今、ITとネットワークを切り離すことはできません。特に2008年は、次世代ネットワーク「NGN」がいよいよ商用化され、本格的なユビキタス社会の到来が加速されると予想されます。
こうした状況下にあって、企業はITをどのように活用すべきでしょうか。まずは、一般消費者のライフスタイルに目を向けてみると、インターネットの活用によって大きく変化して来ていることがわかります。例えば、証券やショッピングは、確実にインターネット化が進んでおり、株の売買にはインターネットしか使わないという消費者がいるほどです。これはつまり、変化する消費者のニーズに合わせ、企業が「変わらざるを得ない」状況にあることを意味しています。そうなると当然、消費者に近いシステムから始まって、収集された膨大な情報を処理するバックヤードのシステムも変化していく必要があります。
インターネットの発展によって消費者が変わり、それが企業に大きな影響を与えました。それに伴い企業同士がネットワークを介して協業することも一般化してきています。それを私たちは、「ダイナミック・コラボレーション」と呼んでいます。例えば消費者がネットショッピングすることを考えても、その裏にはWebサイトの構築、商品の流通、決済まで多様な業務が絡んできます。それを1つの企業で提供することは不可能で、ITを活用した異業種間連携が不可欠になっているのです。
その中で、私たちソリューションベンダーは、お客さまに対し、最新のIT技術、業種や業務のノウハウを駆使して、こうした変化に即応できるソリューションを提供するという使命があると考えています。
――NECソフトにはどんな強みがあり、どのような取り組みを行っていますか?
NECソフトは、NECグループの一員として、ミドルウェアなどの基盤も含むソフトウェアの開発や中堅企業のお客さまを中心としたシステムインテグレーション(SI)事業を手掛けています。ソフトウェア開発とSIの両方の事業を展開しているので、高度な技術を提供できる「総合力」に優れた立場にあると自負しています。その総合力を使って、企業の変化に即応するシステムを構築しているわけです。
SIではお客さまの要望を伺って、1から作ることもあります。ただ、昨今お客さまの事業環境の変化が激しく、かつ厳しくなっている中で、とにかく早く、安く開発したいという要求が多くなってきています。そうしたお客さまに対しても、NECソフトが長年蓄積してきた業種・業務に特化したノウハウや実績をもとに横展開できるものを提供しています。それが「VALWAY Solutions」というソリューションメニューです。このVALWAY Solutionsに、NECソフトのソリューションを体系立てて統合し、コストパフォーマンスの高い提案を行っています。
さらに、パッケージを主体としたSIを積極的に推進しています。特に製造業、流通業、サービス業のお客さまに対しては、「EXPLANNER(エクスプランナー)」というブランドのERPパッケージを提供しており、お客さまの業務の標準化、開発の効率化に寄与しています。
もう1つ、NECソフトが重視しているのがセキュリティです。インターネットは便利ですが、セキュリティ対策に配慮しなければ、企業にとって非常に大きなリスクになってしまいます。そうしたお客さまの課題に対して、VALWAY Solutionsの一環として、システム全体を支えるセキュリティソリューションを提供しています。
――ソリューションを提供するときに重要なのが「品質」だと思いますが、NECソフトは品質向上に対してどのように取り組んでいますか?
NECソフトでは、中期的に「顧客満足度No.1」を大きな目標にしています。その根底となるのは、やはり品質です。お客さまにとって信頼されるパートナーであるためには、品質の良いソリューションを提供するというのが第一になると考えています。
それを実現するために、NECソフトでは「生産革新運動」を強力に推進しています。これは、トヨタの生産方式をソフトウェアの領域に応用したもので、3年前からNECグループ全体で取り組んでいます。このソフトウェア生産革新の基本は「見える化」にあります。現在、「経営の見える化」「プロジェクトの見える化」「現場の見える化」という3つの見える化を進めています。「経営の見える化」は、経営の方針を可視化するツールを使い、全社員が方針を共有するというものです。「プロジェクトの見える化」は、プロジェクトをマネジメントし支援する組織を作ってプロジェクトに送り込むとともに、ツールを使ってプロジェクトの状況を時々刻々管理者が見えるようにしたものです。「現場の見える化」については、小集団による活動を積極的に進めています。すでに約500の小集団があり、「見える化ボード」を使ってメンバー同士がお互いにどんな仕事をしているかを確認し合いながら、コミュニケーションを取って職場の活性化をはかっています。
これらの3つの見える化を中心に生産革新を進めた結果、全社の「失敗コスト」が激減しました。これは、お客さまに信頼できるシステムを提供することに直結するものであり、すでに一部でかなりの手応えを感じています。これをさらに進化させ、あらゆる面での顧客満足度No.1を実現するべく日々邁進しています。
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