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  • 【中国ビジネス最前線(11)】上海で日本人が集まるところ-天盛広告

  • 2008/01/24 掲載

【中国ビジネス最前線(11)】上海で日本人が集まるところ-天盛広告

中国最大の日本人向けフリーペーパー「SUPERCiTY」を発行する「天盛広告」

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中国の躍進が叫ばれてはや数年。日本人は大手企業に限らず、中堅中小企業、個人でも中国でビジネスを展開するようになった。ここでは、中国でビジネスを営む企業や個人の生活を現場の目線でお伝えする。今回は中国最大の日本人向けフリーペーパー「SUPERCiTY」を発行する「天盛広告」を取り上げる。
上海のフリーペーパーもかなり豪華

天盛広告のある虹橋開発区
日本総領事館があり現地在住日本人が多い
 中国最大の商業都市にして、短期、長期含めて10数万人の日本人が滞在するといわれる上海。その上海では、日本人向けのサービスが各種揃っている。日本料理店は数え切れないほどあり、伊勢丹やそごうなどの日系デパート、日本人向けスーパー、娯楽施設などはもちろんのこと、クリーニング店、リサイクルショップ、漫画喫茶に至るまで実に多岐にわたる。価格についても、たとえば日本料理店でのランチメニューが日本と同じか若干高いくらいにも関わらず、毎日多くの日本人が利用している。

 また、上海では日本人向けの情報を発信しているフリーペーパーが何種類か発刊されている。今回ご紹介する「SUPERCiTY」はじめ、「ウェネバー(旧ウォーカー)」「コンシェルジュ」は上海だけでなく北京など他の都市にも展開するフリーペーパーとして中国在住の日本人に広く知られている。上記の3ブランドの雑誌はいずれも100ページ前後のオールカラーとなっていて、かなり豪華だ。

 中でも天盛広告発刊の「SUPERCiTY」は、1999年下半期に創刊されたウェネバーと並び、2000年元旦に創刊された上海最古参のフリーペーパーの1つである。コンテンツ、発行部数ともに豊富で、上海向け生活情報誌の「SUPER CiTY SHANGHAi」を5万部、北京向け生活情報誌の「同 BEiJiNG」を3.5万部、経済・求人求職・不動産情報誌の「CHiNA ビジネス」を10万部、グルメ・エステ・娯楽情報誌の「PLUS」の上海版を5万部、北京版を3万5000部発行している。紙の媒体だけでなくWeb媒体でも「CHiNA SUPER CiTY online」を展開している。

 それ以外にも同社は、企業・飲食店向けパンフレット・印刷物の製作請負や、本社のある国際貿易中心ビルで日本語インフォメーションセンターの「上海iプラザ」を運営したり、イベントチケットの予約・販売やゴルフ場の予約代行などを展開するほか、CSRの一環として、約500名の子供たちが参加する年2回の上海少年サッカー大会の運営をサポートするなど多角的な経営を行い、上海地区の日本人社会の間では抜群の知名度と信用を誇る(注1)。売り上げは現在のところフリーペーパーによる広告費収入が約8割、その他の事業が約2割だという。

上海の日本人向けフリーペーパーはどこで配布するのか

天盛広告 総経理 長田和之氏
天盛広告 総経理 長田和之氏
 ところで上海において日本人向けフリーペーパーを配布するとなると、どこで配布するのかが気になるところ。たとえば発行部数5万部の「SUPER CiTY SHANGHAi」や「上海PLUS」の配布先は、まず1万冊弱が上海以外の地域や郵送会員向けに配布される。次に、上海の企業と飲食店にそれぞれ1万冊前後ずつ、オフィスビルやホテル、高級住宅地にそれぞれ2000~3000冊ずつ配布される。北京で配布される3万5000部も上海と同様の割合で、北京の内外に配布される。

 中国全土に10万冊を配布する「CHiNA ビジネス」については、半分が中国全土の日本企業に配布され、残りは外国人向けマンションに15%、高級ホテルに15%、日本料理店に10%、オフィスビルに5%、レストラン・バーに5%という割合で配布されている。即ちこれが上海で日本人ビジネスマンが集まるところというわけである。地域については上海、北京に配布するのはもちろんのこと、ほかにも蘇州、無錫などの華東地方、大連、青島、天津などの華東地方、それに深セン、広州、東莞の華南地方を中心に配布している。

 同社総経理(日本でいうところの社長)の長田和之氏と上海との付き合いは長い。96年、某財閥系不動産会社の駐在員として29歳で赴任したものの、97年のアジア金融危機による会社撤退を機に98年末に退社。99年の秋に天盛広告の親会社にあたる天晟不動産の中国人董事長(日本でいうところの会長)と出会い、広告会社の設立・経営を提案されたことをきっかけに、天晟不動産のスポンサードを得てフリーペーパーをスタート、32歳での起業・異業種転身となった。

 2000年1月の創刊当時は上海に日本人は3万人ほどしかおらず、また「フリーペーパー」の概念自体が根付いていなかった。そのため、長田氏以下わずか3人の創業スタッフでのスタートとなり、広告も集まりにくく、当初はページ数も少なかったという。

 しかし、2002年頃から日本から中国への第3次進出ブームが来ると、駐在員が急増し、それに伴い日本人向けのサービス業も急増したためコンテンツは豊富になった。そのため飲食・娯楽情報に特化した「上海PLUS」を分冊し、さらにビジネスの話題も増加したため「CHiNA ビジネス」に分冊し、北京版も創刊したことで、現在5種類のフリーペーパーを発刊するまでに至った。

 中国で自由に出版物を出せるのか、と思った読者もいるだろう。言論の自由が保障されていない中国では今のところ、その答えはノーである。ではなぜフリーペーパーを出版できるのかというと、そこは中国ならでは方法があるのだ。

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