- 2008/01/08 掲載
書くのが苦手な人に送る視点を変えた楽しい文章術
関西商魂代表中森勇人氏インタビュー
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中森■書くのが苦手な人に、こうすれば楽しく文章を書けるよと伝えたかったんです。
それから、ライティングに関する質問や講演依頼が多いので、いちいち答えるのも面倒になり、いっそのこと本を書いてしまおうと思ってました(笑)楽だし、お金になるし・・・
ちょうどいいタイミングで出版社のほうから依頼が来たんです。そして、今年11月にこの本を出版しました。
――中を読ませていただきました。会議の議事録をヒーロー戦隊風に記すって・・・会社によっては叱られませんか(笑)
中森■客先に行った報告書で、自分が正義のヒーローで、客は悪人であるとかね・・・(笑)
私が会社員だった頃は、入社時に分厚い文例集もらうんですよ。それを流用すれば、報告書ができた。しかし、今は、メールが多用されるようになったし、報告書も、昔の難しい文体を使っていては若い人に通じない。がちがちの報告書で、句読点もなく、だらだらと続くようなら誰も読まないでしょ?
それだったら、いっそのこと、「A部長にいじめられていたが、おもしろい企画書をライダーキックのように繰り出して、一発逆転!」と書いたほうが効果的じゃないですか。
実は、私自身、会社員のときに議事録をヒーロー戦隊風に書いたことあります。上司から、突っ返されましたけど・・・
――あっ、実際に試みられたんですね・・・
中森■社内に、個性のある報告書を書く人を重用する気風があってもいいと思うんです。見たまま、聞いたままのほうが書きやすいし臨場感が出ます。それを続けるうちに、もっと雰囲気出そうとして、自然に文章力がついていきます。
文章を書いて、他人に見せて、フィードバックしてもらって、書き直す。これが文章力を上げる近道ですね。よく、「本を出したい」と相談に来る人がいます。「本を出版したいのなら、まず本になる文章を書いて自分で出してしまいましょう」と答えます。逆説的ですけど(笑)
要は、何でもいいんです。紙1枚の手書きの新聞でもいいんですよ。まずは、「発信」。今なら、インターネット上のブログなど、自分なりのチャネルを持てる時代ですから始めやすいですよね。
――中森さんが文章を書こうと思った。そもそものきっかけは何だったんですか?
中森■ありがたいことに会社で肩をたたかれたんです(笑)。つまりクビ宣言ですね。会社から嫌われたのなら、自分自身で生きていくしかありません。同じやるなら、転職や起業はありきたりで面白くない。それじゃ、自分の中にあるものを生かせないかなと考えました。その中の1つが文章を戦略的に使うことでした。
――最初に『ザ・リストラ それでも辞めなかったサラリーマンの知恵』(KKベストセラーズ)を出版されています。「社会に告発せねばならない」という正義感から書かれたんですか?
中森■そこまで、ジャーナリスティックだったかどうか・・・。肩たたきにあったとき、私はまず、本屋に走りました。本棚を探し回ったんですけど、現役の・・・いや、実際にリストラにあった人の体験記がないんですよねぇ。
今しがた言われたばかりの「君にやってもらう仕事はない」の意味をどう理解すればいいのか、はたと困った。弁護士に相談するにしても、会社からは「明後日までに答えを出せ」と言われている。リストラ部屋に3ヶ月閉じこめられたり、社内スパイがついたりと、リストラフルコースを体験しましたね。
徹底抗戦したら、会社側のリストラ策が尽きたんですね。嫌がらせがパタリとやみました。それで、ここまでやったら、リストラに対抗できるということを同じ目に遭っている人に教えたら少しは役に立つかと思ったんです。
――初めて書店に自分の本が並んだときの感想は?
中森■うれしかったですね。ただ、同時に次回作のことも考えていました。リストラされそうになった会社にこのままいても、立場はないだろうし・・・ある人に、「本は半年も売れなかったら、廃棄されて、元のパルプに戻るよ」と言われたんです。「自分の作品がトイレットペーパーになってしまう・・・」売るのに必死になりました。ゲラ段階で、新聞社に本を送ったりしました。それからは怒涛の取材攻勢でした。良い文章を書く努力に加えて、著作をどのように人の目に触れさせるかという戦略も大切なんです。
「この本を読んで助かりました」と、菓子折りを持って来た人もいました。たくさんメールも届いたので、実際に会ってリストラの体験談を聞いたりしました。
面白いことに「情けは人のためならず」なんです。そういう活動をしていたところ、ある出版社から、「リストラ逆マニュアル」を出版しましょうと声がかかりました。実際に会った方々の体験談を集めて2冊目の本『辞めてはいけない』(岩波書店)を世に出しました。リストラエリアに入れられてごみの分別させられてる人とか、ひどい事例がたくさんありました。
もう、その時点では本が私の手を離れて立体的になっていたと思います。そのときに取材力が向上しました。同時に始めたのが講演活動です。会社での隠し撮りビデオ「辞めない宣言」を放映したりしました。すると、今度は違う媒体の方から声がかかるんです。そうやって、少しずつ活動の場を広げていきました。
中森■手伝ってもらいます。他人と協力すると、その人の脳みそが使える利点があります。一人では生まれなかった発想が生まれる。私は、仕事をするときは、女性と組むことにしています。文章がマイルドになるし(笑)
それから、デジタルツールを上手く使うことですね。メールで済ませることはメールで。ホームページで告知できることはホームページで。
――文章を書くことに行き詰まったりしませんか?それを乗り越える秘訣は?
中森■文章を書けなくて、ぐだぐだのとき、ありますよ(笑)ただ、プロというからにはどんな状況でも書かなくてはならない。今は、何でも引き受けています。
私の場合、自分の書きネタをパソコンで管理しています。出版社ごとにフォルダで分けています。それから先ほど言った「人の脳みそ」を使う。つまり、ネタに困ったら取材します。面白かったら1回の取材で視点を変えながら2本書いておく。
一人では、2冊目が書けなかったでしょうね。自分のネタだけでは書けなくなる。取材すれば、ネタは無限にある。「書けない」はインプットをサボった証拠かもしれません。
――文章のテクニックに関しておっしゃりたいことは。
中森■人のフレーズをサンプリングするんです。決して盗用するのではなく、その人の肩の上に乗るんです。例えば、私は携帯電話などのCMのコピーから「0円使い放題」を使って、ホワイトカラーエグゼンプションを「年間400万円払えば残業代0円で社員が使い放題」」と表現しました。ことわざやよく知られている言葉に引っ掛けると広がりが出るし、印象にも残ります。他のちょっとしたテクニックは『ウケる文書×魅せる文書』をぜひ、読んでください(笑)
ちょっとしたことで、文章は上達します。さらに文章を良くするには、書くためのエンジンとして色々なことに関心を持つことが大切だと思います。先に企画書を作って雑誌社に持っていくのもいいですね。掲載される媒体が決まっていますと、先方も喜んで話してくれますし。まずは、動いてみることです。
――最近、実際に取材されて面白かった話は?
中森■大地震が来ても壊れない重さ百数十キログラムの「鉄鋼ベッド」ですね。ただ、ベッドを部屋に入れたら家が崩れる可能性が高いんですけど・・・
あとは、走って近づいてきたことが分かる鈴つきの自転車ですかね。売り先が見つからないというので、「選挙の候補者に売ったらいい」とアドバイスしておきました。
最近、中小企業の取材に力を入れているんです。面白いものは、深みがあるので、すでに12回も取材に行った企業があります。ここまでいくと、話を聞かなくても記事を書けるようになります(笑)
――最後に、次回に出したい本の構想を。
中森■次は、合同会社設立や運営方法の話などを書きたいですね。他には経営者側の視点から、リストラ回避策も書いてみたいですね。リストラはお互いに不幸になるだけですし。「リストラされかけた立場だから、そのことしか書かない」と限定された絶対的部分は持たないように心がけています。これからも新鮮なネタを仕入れて色々な分野を書いていこうと思っています。
――ありがとうございました。
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