- 2007/11/28 掲載
システムを保護する企業からインフラ全体を守る企業へ--チェック・ポイント会長兼CEOギル・シュエッド氏(2/2)
─―欧米のオンラインセキュリティのトレンドで、気になっていることはありますか?
新たな脅威は相変わらず次々と表れていますが、それらに対応していくことは当然のこと、という状況になっています。それよりも企業やユーザーの興味は、適切なポリシーを設定して正しく適用し、コンプライアンスを遵守していくことに向けられています。先ほどお話したデータセキュリティの分野においても、外部からの攻撃を想定したデータ保護だけではなく、内部における操作からもデータを保護しなければならないというのが、現在のトレンドですね。
またオンラインの脅威にも、これまでとは違う傾向が見られます。マルウェアやウイルス、トロイの木馬など、手法自体に大きな変化はありませんが、攻撃対象に変化が生じています。かつては、より広範な対象を攻撃するようにこれらのプログラムは設計されていましたが、近年では特定の個人や特定の企業をターゲットとするものが増えています。こうしたものにも、対策を施していかなければなりません。
─―セキュリティ対策の分野においては日本より欧米の方が進んでいるように思えますが、ソリューションを提供する立場として欧米市場と日本市場で戦略は違うのでしょうか?
基本的な戦略は世界共通です。製品ラインナップについても多くが共通していますが、地域特性に対応するような細かいニーズについては、たとえば日本では日本のチームが対応しています。セキュリティのトレンドは対策を考えるきっかけにはなると思いますが、製品を購入する直接的な大きな動機とはならないのではないかとも考えています。たとえばコンプライアンス遵守の問題を例にチェック・ポイント製品を導入してくださった企業の導入経緯を考えてみても、コンプライアンスの遵守が市場で求められているからチェック・ポイントの製品を買う、ということにはならないでしょう。
コンプライアンス遵守をキーワードに自社のセキュリティを見直し、その上でいい製品を選んだ結果がチェック・ポイント製品の導入に結び付いていくのだと思います。そうした経緯の中で選ばれ、導入してもらえるようになるためには、最新で最良の製品を提供し続けることが大切です。
─―日本では中小規模の企業のIT化の取り組みが注目されていますが、これは世界市場でも共通した動きなのでしょうか?
中小企業へITやセキュリティのマーケットが広がっているのは、世界に共通した現象です。これまでは、セキュリティ対策というのは体力に余裕のある大企業だけに課せられた課題だと考えられてきました。しかし最近になり、企業規模や業種に関係なく、ITを利用して業務を行なうすべての企業においてセキュリティ対策が必要であるという認識が広がったのだと思います。
─―チェック・ポイント製品をより広く活用してもらうための、今後の戦略を教えていただけますか?
チェック・ポイントはファイアウォールの会社から、システム全体を保護する会社へと歩みを進めてきました。今後は、端末を含めたインフラ全体を守る会社へと成長していきたいと考えています。チェック・ポイントの技術がセキュリティインフラのキーとなり、他のセキュリティシステムを結びつけていくような、そんな立場を目指しています。セキュリティ分野では、多くの企業や製品が表れては消えていきます。そうした競争の激しい業界に長く留まり、常に最新の製品を提供し続ける企業でありたいと思っています。
基本的な戦略は、これまでと変わりません。ミーティングやセミナーを重ね、パートナーやユーザーの皆さんと積極的に関わっていきたいと考えています。メッセージをきちんと伝えていくために、チェック・ポイントを身近に感じていただけるよう努力を続けていきたいと思います。
―─日本のユーザーに向けてメッセージをいただけますか?
今、チェック・ポイントには信頼性が高く、市場で十分な実績を積んだ製品が数多くラインナップされています。信頼性が実証された技術を選んで採用する傾向にある日本企業に向けても、自信を持ってお届けできる、実績豊富で製品ライフサイクルの長い製品群です。多くの実績を見て判断していただき、安心して導入してもらえる時期に来ていると思います。単に枯れた技術ということではなく、革新的でありながら豊富な実績を持ち、ライフサイクルも長い製品群が揃う今が、最新のセキュリティトレンドを採用するいい時期だと言えるでしょう。
日本の市場を重要視しているだけではなく、今回のように訪れるたびに、滞在も楽しんでいます。今後も日本のユーザーにいい製品を届け、この市場をリードし続けたいですね。
(聞き手:重森大、坂井美紀 執筆:重森大 撮影:相川大助)
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