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- 2007/09/27 掲載
管理会計の目的と役割(2/2)
設備投資の後に問題となるのは、実際に想定通りに物が売れるか、という点だ。別の言い方をすれば、どのようにすれば物が売れて儲かるか、ということである。
金儲けの3要素は
(1)誰に対し
(2)何を
(3)どうやって売るか
ということだと思われる。
そしてこれらを決めることも経営戦略の重要な役目になる。その決め方は、「仮説検証型」アプローチが広く行われている。つまり、
(1)こういう層の人達が買うはずだ
(2)この層の人達はこの製品を買ってくれるはずだ
(3)この層の人達はこの製品をお店ではなくネット経由で買うはずだ
という仮説を立てる訳だ。
この仮説が正しければ、その通りにやれば儲かるはずである。しかし、そう上手くいくとは限らない。試しにやってみて、その結果が思うとおりにいかなければ、随時仮説を修正して実行していく必要がある。この流れは「PDCAサイクル」というものにも似ている。要するに、P=PLAN(計画)、D=DO(実行)、C=CHECK(評価)、A=ACTION(改善活動)。
![]() |
図3 仮説検証のサイクル |
このサイクルを回すために必要な情報は何だろうか?
まず、仮説を立てるために必要な情報
(1)これまで誰が(どの層が)どのような製品を買っていてくれたのか
(2)果たしてそれはどれだけの売上でどれだけ利益が出ていたのか
(3)その製品はどのような場所(チャネル、販売ルートあるいは当社の担当部門や担当者)で売れていたのか
(4)どのような販促活動をやったのか
仮説:そうであれば、この層の人たちはこの製品をお店ではなくネット経由で買うはずだ。そしてこのような販促活動をやればこれだけ売れるはずだ。 |
次に必要なのは評価をするための情報
(1)誰がどの製品(どの価格帯のものを)をどこでどれだけ買ったのか
(2)どれだけ売れてどれだけ利益が出たのか(目標に達したか)
(3)どのような販促活動をやったのか
このように仮説を立てるために必要な情報およびその実行過程を把握(モニタリング)するために必要な情報を提供するのも、管理会計の仕事である。このような情報は一般的には顧客別、製品別、地域別、事業部別、担当者別などの切り口で把握され、よく「セグメント別管理」とも言われている。また、このような会計情報は企業の部門あるいは個人の評価(目標管理型人事制度)にも利用されている。
このような経営サイクルの過程を評価するための管理会計のことを「業績評価会計」と呼ぶ。以上を整理すると「制度会計」と「管理会計」は下図のような関係になる。
会計 | |
制度会計 | 管理会計 |
会社法 証券取引法 税法 |
意思決定会計 業績評価会計 |
これで連載第1回は終了する。管理会計の目的・役割についてご理解いただけただろうか。次回は個々の管理会計の手法について代表的なものを解説したい。
![]() エス・エス・ジェイ取締役執行役員総合企画室長 大手外資系監査法人入社後、独立し長谷川公認会計士事務所開設。その後大手ベンチャーキャピタルにてベンチャー企業への投資、経営指導、情報システムを中心とした経営管理システム構築指導を行う。また、東証一部上場企業にてシステムソリューションビジネス、経営企画部門の執行役員を歴任後、2007年2月より現職。公認会計士、システム監査技術者。 |
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