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明治7年創業の市田では、400種類以上もの帳票出力や管理業務の効率化と管理コスト等の低減、および膨大な量の紙のコスト削減を目的に、BSPの運用管理ツールである「Information Navigator」と「BSP-RM」を導入。帳票出力・仕分け作業の大幅な合理化、効率化を達成すると共に、80%以上の帳票を電子化したことによって約40%のコスト削減を実現した
膨大な帳票管理の合理化と
出力コストの削減を高次元で達成
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市田 |
明治7年に創業した市田(以下、市田)は、"きもの"の新しい時代を生み、常に業界をリードしてきた。著名な人間国宝作品から工芸作家の作品など、日本を代表するトップクオリティの作品をはじめ、ファッションデザイナーが手がけた魅力的なブランドきもの、振り袖、ゆかたなどを扱っている。また、世界のデザイナーによるジュエリーブランドやラルフローレン、ハイクオリティなブラックフォーマルウェアである「パティオウェア」やダニやほこりを寄せ付けない清潔な生地「ミクロガード」を用いた寝具用製品なども販売している。
同社では、400種類以上もの帳票出力や管理業務の効率化と管理コスト等の低減、および膨大な量の紙のコスト削減を目的に、BSPの運用管理ツールである「Information Navigator」と「BSP-RM」を導入。帳票出力・仕分け作業の大幅な合理化、効率化を達成すると共に、80%以上の帳票を電子化したことによって約40%のコスト削減を実現することができた。今回の導入の背景や経過、効果等について、管理本部情報システム部 部長の辻 弥寿史氏にお話をお聞きした。
膨大な帳票出力コスト
管理業務負荷の削減を目指す
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市田株式会社
管理本部 情報システム部
部長 辻 弥寿史氏 |
きもの業界のリーディングカンパニーである市田は、東京都中央区の本社、および京都市下京区の京都ビルという2つの拠点を核として、きもの、ジュエリー、婦人服、ホームリビングなどの企画・生産・販売を行っている。
同社では、メインフレームベースの基幹系システム上の処理業務等に於いて、全570種類(内対象帳票は402種類)もの膨大な帳票が存在している。これらは、プリンターへの用紙のセットから始まり、印刷作業、用紙のカッティング、さらに、帳票の仕分けと配付といったプロセスが必要で、常に多くの時間と人件費が費やされている。
情報システム部長の辻弥寿史氏は「帳票出力にかかるコストと労力の削減は長年の課題でした」と語る。「どの帳票が最終的にどの部署に行き渡っているのか、という管理ができていなかったので、社員からの誤配や紛失による問い合わせや再出力要請が後を絶ちませんでした。帳票の種類が多く、同じような帳票がたくさんあるため、間違いやすい事もあります。このような無駄な負荷、コストをどう削減するかが大きな問題だったのです」
こんな時、トップから情報システム部門に対して「帳票の合理化とコスト削減」という命題が下った。「まさに、長年の悩みを解決する絶好のチャンスだと思いました。そこで、私は会社に電子帳票化のプランを提案したのです」と辻氏は当時を振り返る。 早速、2004年9月からシステムの狙いとなる基準を作成し、具体的な選定作業に入った。そこで同社が選んだのがBSP-RMとInformation Navigatorであった。
選定のポイントは
限られた予算で最大の効果を得ること
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市田株式会社
京都店 展示場 |
同社にとってBSP-RMは、移行時に最低限のJCL修正で済み、PCC、FCBの展開をコントロールできることや配付先の登録や変更、1帳票の分割配付など、様々なメリットをもたらす。また、Information NavigatorはWebベースで最大5ユーザが同時にログオンし、電子帳票を利用できることや、ユーザー/グループ単位で帳票のアクセス権がきめ細やかに設定できることや、フォルダ階層が自由に作れること、エクセルとの連携、帳票内での目次設定が可能なこと、などが選定の主な理由となった。
また、新システムの移行に於いては、限られた情報システム部門の人員で、少なくとも1年以内で導入可能であったことも大きなポイントだった点に加え、2つの製品はすべてBSPでワンストップのサポートが得られることも大きな魅力であった。
しかし、辻氏が最も重視したのは、投資対効果であった。「やはり、予算というものは限られています。BSP-RMとInformation Navigatorはその予算で最大限の投資効果が発揮できる、と判断しました。様々な機能を有するツールは数多くありますが、本当に業務に役立ち、成果が出せるキーとなる機能を有効にかつ積極的に使っていこうと考えました」と辻氏は語る。
段階的な電子帳票化を実施し
スムーズな短期移行を実現
同社がBSP-RMとInformation Navigatorの導入を決定したのは2005年3月。それから2ヶ月後の5月から本格的な導入作業がスタートした。作業にあたっては、事前のパイロット導入/開発を実施し、開発言語のコーディング上の問題やオーバーレイ定義など、事前に問題点を洗い出し、本稼働までに解決することができた。
また、段階的に帳票の電子化を進めて利用可能にし、本格的な帳票印刷の停止は利用開始から3ヶ月間のブランクを設けることで、トラブルや混乱に備えた。さらに、エクセルとの連携帳票は必要最低限とし、リスクの低減化も考慮。2005年12月からは部分的な利用を開始し、2006年11月には全ての作業が完了した。
導入にあたっては、東京本社、京都ビルでパワーポイントによる説明会を開催したが、それ以外は特に社員教育を行わなかった。操作がシンプルでわかりやすくできるようになっているので、入念な利用者教育はほとんど必要なかったのだ。
なお、今回の導入にあたり、辻氏は完全なペーパーレス化を目指したのではなかった。「たとえば、販売戦略の仮説と検証において、企画部門と営業部門の社員とが議論することが多々あります。こんなシチュエーションでは、画面を見ながらではなく、紙に印刷されたデータを突き合わせた方が効果的なのです。必ずしも紙を全て排除するというのではなく、必要なものを効果的にペーパーレス化し、プリントも可能なようにする、というのが秘訣だと思います」と辻氏は語る。
約4割のコスト削減を達成
本システムの導入により、402種類の帳票のうち現在電子化されているものは323帳票。実に80%以上の帳票の電子化を達成した。従来、紙ベースで仕分け/配付していた帳票が、京都ビルに設置されたシステムから京都ビル、東京本社へ電子的に仕分けを行い、ネットワークで配信できるようになったのである。
辻氏は「毎日処理する必要がある日報や、月末の決算処理にかかる帳票出力作業が大幅に合理化できました。日次処理では帳票配付時間が120分から30分に、月末処理では延べ19時間が6時間に短縮され、従来東京本社では5.5人、京都ビルで7人で行っていたシステム全般業務をそれぞれ2人と5人でできるようになりました」と、導入の効果を語る。
帳票コストについては、その削減効果は2005年度に対して2006年度だけで42%にも達する。更に、誤配や紛失といった問題が解消されただけではなく、これまで必要だった大量の帳票保管スペースを大幅に削減し、紙の廃棄にかかる費用もカットできるなど、広義のコスト削減効果は計数化できない部分も少なくない。
導入のメリットはコストだけではない。社員の利便性も大きく向上している。帳票が社内のどの場所からでも参照でき、しかも朝一番に閲覧できるようになった。これによって、企画部門や営業部門などの意志決定にかかるプロセスも迅速化され、タイムリーな商品企画や営業戦略の立案も可能となったのである。
今回導入したBSP-RMとInformation Navigatorは大幅なコスト削減と管理負荷の低減、さらには迅速な情報伝達など様々なメリットを生み出した。今後は、帳票一覧/配信一覧表の作成とデータベース化、、人事関係帳票の電子化などに取り組むと共に、コンプライアンスの観点から、内部統制、全体統制にも全力で取り組んでいく。
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システム構成図 |
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