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千葉興業銀行は、千葉県内を中心に71の店舗を持つ地方銀行である。その千葉興業銀行が2004年から取り組んだのが、オープンシステムへの全面移行だ。目指したのは、基幹系オンラインシステムを共同センターに移した上で、行内のIT基盤をオープン化し、大量帳票についてはアウトソーシングに切り替えること。アウトソーシング先に渡すスプールファイルは、ビーエスピーのBSP-RMを利用してオープンシステムの帳票データから変換するようにした。
オープンシステムの帳票データをスプールファイルに変換
メインフレーム帳票を残したオープン化を成功させる
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ちば興銀コンピュータソフト
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千葉興業銀行は、千葉県内を中心に71の店舗を持つ地方銀行である。そのグループ企業として千葉興業銀行などにITサービスを提供してきたのが、ちば興銀コンピュータソフト(本社:千葉市)だ。設立は、1991年7月。システム開発のほか、給与計算システムなどのパッケージソフト販売、 ウェブソリューション、アウトソーシング、サポートサービスと、サービスのメニューは充実している。
その千葉興業銀行が2004年から取り組んだのが、オープンシステムへの全面移行だ。目指したのは、基幹系オンラインシステムを共同センターに移した上で、行内のIT基盤をオープン化し、大量帳票についてはアウトソーシングに切り替えること。アウトソーシング先に渡すスプールファイルは、ビーエスピーのBSP-RMを利用してオープンシステムの帳票データから変換するようにした。移行は無事に完了し、2006年からは事務センター内の処理はすべてオープン系サーバーで行われている。
オープン系帳票作成ツールではスプールファイルが作成できなかった
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ちば興銀コンピュータソフト
システム開発グループ
マネージャー 高橋 宏樹氏
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メインフレームの牙城と考えられてきた銀行でも、システムのオープン化は急速に進行している。すでに多くの銀行が情報系システムをオープンシステムで構築しているし、地方銀行では勘定系システムをオープン化する動きも盛んだ。
ちば興銀コンピュータソフト(以下、CKCS)がITサービスを受託している千葉興業銀行でも、2004年からオープンシステムへの全面移行が始まった。まず、2004年10月に勘定系オンラインシステムを共同センターへと移行。行内で使う帳票を電子化し、顧客などに送る帳票の出力と配布は専門業者にアウトソーシングすることによって、2006年初めにメインフレームを撤去したのである。事務センターに残された業務は、すべて、オープン系サーバーでの処理に切り替わっている。
この移行プロジェクトが無事終了することができた背景には、ビーエスピーの総合レポート管理システム「BSP-RM」の存在があった。
それまで順調に進んでいた移行作業に問題が生じたのは、2005年春のこと。当初予定していた方法では、帳票出力アウトソーシング先に帳票データを渡せないことが判明したのである。「アウトソーシング先にはメインフレーム時代から帳票出力をお願いしていましたから、オープン化した後も、帳票データはメインフレームのスプールファイル形式で渡すつもりでした。ところが、新しく導入したオープン系の帳票作成ツールでは、メインフレームのスプールファイルを作成することができなかったのです」と語るのは、移行プロジェクトを率いた高橋宏樹氏(CKCS・システム開発グループ・マネージャー)。事務センターのオープン化とアウトソーシング先の処理方式を両立させるには、オープンシステムの帳票ファイルをメインフレームのスプールファイルに変換するしか方法はなかった。
豊富な実績を評価してBSP-RMを採用、2ヶ月かけてチューニングを行う
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千葉興業銀行
経営企画部 IT企画室
上席調査役 伊藤 和行氏
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変換ツールにBSP-RMを選んだ理由を、千葉興業銀行から移行プロジェクトに参加した 伊藤和行氏(経営企画部・IT企画室・上席調査役)は「いろいろと調べてみたのですが、異機種混在環境での帳票データ処理に豊富な実績を持つ製品はBSP-RMしかありませんでした」と語る。BSP-RMは帳票データHubの役を果たすレポート管理システムで、文字コードやファイル形式の変換だけでなく、レポートの圧縮保管、マルチ仕分け、配信、分散出力、再出力といった多様な機能を備えているのが特長。対応しているプラットフォームは、メインフレーム、UNIX、Windowsの3種類だ。
アウトソーシング対象帳票のうち、特に対応が急がれたのは顧客通知と呼ばれる帳票である。「顧客通知には、定期預金の満期通知など、お客様にお送りする20種類ほどの帳票が含まれます」と説明するのは、システム開発に携わった 岡田憲一氏(CKCS・システム開発グループ・上級システムエンジニア)。毎月の印刷量が15万ページ(平均)にも達する大物帳票だけに、アウトソーシングによるコスト削減効果も高い。
BSP-RMが事務センターに納入された後は、2ヶ月をかけてチューニングが行われた。例えば、印刷項目の位置合わせ。半角文字幅と全角文字幅の比率がオープンシステムとメインフレームでは異なるので、所定の枠内にぴたりと印刷するには、ダミーの空白文字を補うなどの工夫を必要とするのである。また、レイアウトが複雑な帳票では、レコード長がスプールファイルの上限を超えてしまうという問題もあった。オープン系帳票作成ツールが自動的に埋め込む機能コードに無駄な繰り返しがあり、データ部分だけなら収まるのに、レコード長全体では超過してしまうことがあるのだ。「CKCS側で帳票レイアウトの見直しをしたり、BSP-RMでの変換処理に手を入れてもらったりして、レコード長の問題にもなんとか対処できました」と、高橋氏は振り返る。
長期的には帳票の作成方式を目的に応じて選べるようになったことが大きな効果
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ちば興銀コンピュータソフト
システム開発グループ
上級システムエンジニア
岡田 憲一氏
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チューニングと印刷テストを繰り返して、オープンシステム版の顧客通知が千葉興業銀行の検証にパスしたのは、2005年12月の末。ぎりぎりではあったが、2006年1月からの全面オープン化に間に合わせることができた。「BSP-RMを採用していなかったら、2005年いっぱいに移行を完了させることはできなかったと思います」と、伊藤氏。アウトソーシング先に新しい印刷アプリケーションを開発してもらわなくて済んだため、移行コストも低く抑えることができた。
千葉興業銀行とCKCSは、帳票の作成方式を目的に応じて選べるようになったことについても高く評価している。「オープンシステムとメインフレームのどちらでも同じ帳票が作れるので、内製とアウトソーシングを自由に使い分けられるようになりました。最初は事務センター内のオープンシステム向けに開発し、印刷量が増えてきたら、そのままアウトソーシングへと切り替えればよいのです」(伊藤氏)というのが、その理由。高橋氏は「スプールファイルから直接に印刷する方式はパフォーマンスが高く、同じメインフレームを持っているところなら、どこにでもアウトソーシングできるという利点があります」と言う。
オープン化が成功裡に完了したことを受けて、CKCSはその経験とノウハウを他の銀行にも提供していこうと考えている。「今回の移行プロジェクトでわれわれが経験したことは、他の銀行でもきっと参考になることと思います」と、伊藤氏。勘定系オンラインシステムは共同センターに移せるが、帳票を作成するためのバッチ処理は各行が独自に処理する必要があるからだ。勘定系オンラインシステムは共同センターに移し、行内のIT基盤はオープン化して、大量帳票はアウトソーシングする――。千葉興業銀行と同じやり方を選ぶ地方銀行は多いものと、CKCSは見込んでいる。
オープン化によるコスト削減と地域特性を重視したビジネスの両立を目指す日本の銀行に、ビーエスピーのBSP-RMは帳票面からの支援をこれからも提供していく。
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