- 2007/07/09 掲載
【連載】NGNとは何か(4):NGNに向けたFMC
月間連載
「FMC」とは固定通信と移動通信の融合を意味するFixed Mobile Convergenceの略であるが、一口にConvergence(融合/収束)と言っても幅が広く、さまざまな意味に受け取られる。そこで、本稿ではFMCサービスという切り口で、実現できること別に「One Phoneサービス」、「One Numberサービス」、「請求書統合サービス」や「通話料金割引サービス」について解説する。また、今回の末にFMCと本連載のメインテーマであるNGNとの関係にも触れよう。
FMCの実現とはどういうことなのだろうか。まずは、ユーザーに利便性をもたらす4つの具体的なサービスをざっとおさらいしておこう。
1.One Phoneサービス
まずはOne Phoneサービスだ。同一の端末で移動アクセスと固定アクセスの双方が利用可能となるサービスである。簡易なものとしては携帯電話を固定電話の子機として動作させるようなものがある。例えば、Bluetoothに対応した携帯電話を使って、宅内(社内)にいるときは固定電話回線を、屋外では携帯電話網を利用するといったケースがこれにあたる。その場合、携帯電話がBluetoothを用いて固定電話の子機として動作する機能に対応していることはもちろん、屋内の固定回線の先にBluetoothのアクセスポイントなどを設置する必要がある。
このサービスは韓国のKTとKTFが提供しており、携帯電話番号と固定電話番号の2番号が利用される。
2.One Numberサービス
1つの携帯電話で複数の回線を使い分けるOne Phoneサービスとは別に、固定と携帯の電話番号を1つに統一できるようなサービスもある。それがOne Numberサービスである。このサービスによって、移動アクセスと固定アクセスの双方で同一の電話番号が利用可能となる。One Phoneサービスと組み合わせることで、宅内ではBluetoothや無線LANのAPと固定ブロードバンド回線などからなる固定アクセスを利用して通信を行い、またそれ以外の場所では通常の携帯電話として通信するような形態で実現される(図1)。同じ電話番号でも、固定回線が利用できる場合は、その特徴を活かして安価で高速な通信速度を実現できる可能性があることなどから、ユーザーと通信事業者の双方にメリットをもたらすと考えられている。この2つのサービスについては、次ページで詳しく見ていく。
※クリックで拡大 |
図1 One PhoneとOne Numberサービスの実現例
|
3.請求書統合サービス
請求書統合サービスは、移動通信サービスと固定通信サービスにおける通信料や各種サービス、およびコンテンツの利用料などの請求を統合するサービスである。これにより、料金が一括で支払えたり、さらには特別な割引が受けられたりするような利便性をユーザーが享受できる。日本では既に提供している通信事業者もおり、また海外の通信事業者においても実施例があると言われている。
4.通話料金割引サービス
通話料金割引サービスとは、例えば携帯電話とそのユーザー宅の固定電話の間など、特定の携帯電話と固定電話の間の通話料金を割り引くようなサービスのことだ。同一の通信事業者(あるいはそのグループ)が携帯電話と固定電話(IP電話も含む)の双方を提供しているソフトバンクやKDDIにおいてすでに一部実施されている。また、このほかに、FMCというよりは厳密にはFMS (Fixed Mobile Substitution:固定/移動代替)とも呼ばれ、携帯電話による固定電話代替に位置づけられるサービスとして、特定のエリア内(例えば、ユーザー宅周辺)にいる携帯電話の通話料金を割り引くサービスなどもあり、これにはVodafone D2の「ZuHause」やO2 Germanyの「Genion」などの実施例がある。
関連コンテンツ
PR
PR
PR