- 2007/04/03 掲載
【連載】NGNとは何か(1):各国と日本の取り組み(2/2)
1.NTT
NTTのNGN構想である「RENA構想」に基づく中長期経営目標には、
・ブロードバンド、ユビキタスマーケットの創造と、日本政府がかかげるe-Japan戦略やu-Japan構想の実現への貢献するといったことが挙げられている。
・安心、安全で便利なコミュニケーションネットワーク環境とブロードバンドアクセス基盤を構築し、円滑にマイグレーションする
・企業価値の向上に努め、持続性に発展する
その具体的な取り組みとして、固定通信と移動通信の融合などを実現するブロードバンド・ユビキタスサービスの開発・普及、高品質・柔軟でセキュリティを担保する次世代ネットワークの構築、ブロードバンド・ユビキタスサービスのノウハウを活かした事業機会の拡大、などを挙げている。
さらに、既存の固定電話からIP電話、メタル(銅線)から光アクセス(光ファイバ)への円滑なマイグレーションという部分も推進。固定電話網からの切り替え時期の方針は、2010年までにより具体的な進め方が策定される予定である。既存の固定電話に関する料金についても、光アクセス・次世代ネットワークによるサービスの料金体系への移行に向けて見直しが行われることになる。
2.KDDI
KDDIは、2003年10月の光プラス開始を機に、運用を開始したCDN(Contents Delivery Network)はデータと音声を統合する。さらに音声をデータよりも優先して転送することにより、既存の固定電話と同等の通話品質を実現できる。そのため、このCDNを拡張し既存固定電話網をソフトスイッチに順次置換して、顧客の直収化(光プラス、光ダイレクト、メタルプラス)を進めて、IP化の実現を計画している。
また、KDDIは、2005年にウルトラ3Gを発表。これは、CDMA2000システムのさらなる高速化や、様々な通信システムの相互補完によるシームレスなサービスを提供するための次世代通信インフラとして、固定と移動の統合を目指すためのコンセプトである。KDDIのコアコンピタンスであるモバイルを中心としたネットワーク構想であり、携帯以外に、無線LANの活用も視野に入れている。
3.ソフトバンク
ソフトバンクBBが提供するBBフォンは、2002年より商用サービスとして提供され、会員数500万人を超す日本最大のIP電話サービスである。ソフトバンクテレコムにおいては、1998年にオールIP化構想「PRISM」を提唱し、2000年より日本初の商用IP専用線サービス「Solteria」を提供している。2005年には、さらにオールIP化構想を進化させ、サービスとネットワークの連携を主眼に置く「IRIS」構想を提唱し、2006年よりその商用サービスの第一弾として、帯域・リソースの可変提供型プラットフォーム「ULTINA On Demand Platform」KeyPlatを提供している。
このような歴史的事実を見れば、現在語られている次世代ネットワーク機能は、ユーザーの視点からすると、既にソフトバンクグループによっていくつか提供されているといえる。そのネットワーク機能を提供する技術は、以前と今では多少異なっており、今後さらに進化し続けるであろう。
米田 進
ソフトバンクテレコム 研究所 副所長 ジョンズホプキンス大学大学院システム工学専攻博士課程を終了後、ベルコミュニケーションズ研究所へ入所。1993年から日本テレコム(現ソフトバンクテレコム)にて、通信の研究に携わっている。1955年生まれ。 |
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