• 2007/02/26 掲載

【戦略的Webサイト構築術/連載[4]】 ユーザーシナリオ設計のステップ

~Web2.0がもたらす変革とは?~

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Web2.0というキーワードが一人走りをしている。企業は挙って自社のWebサイトをWeb2.0対応にしようとするが、その本質を見誤ると目的を達成することはできない。では、Web2.0をどう捉えるか。どういったサイトを構築すればよいのか。トライベック・ストラテジーの後藤洋氏が論じる連載の第4回をお届けする。
【売上アップ】戦略的Webサイト構築術
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部
ゼネラルマネージャー
 前回お話した<ユーザーを知る>パート部分では、ユーザーニーズを把握するさまざまな方法を紹介した。またそれが机上の空論になりやすい戦略プランニングフェーズから実行企画フェーズへと移っていく際に、非常に重要な作業になるという点についても言及した。

 今回から2回の連載を通じて、ユーザーの行動に基づいたサイト内のコンテンツ、導線などを効果的に配置していく<ユーザーシナリオ設計>についてお話しする予定だ。特に今回は<ユーザーシナリオ設計>において前提となるWeb2.0による変革について、改めて考えていきたい。


Web2.0によって変わるものは?

 Web2.0時代において、いったい何が変わったのか?連載第1回でWeb2.0という概念だけが先走り、本質であるユーザー理解を見失ってはならないということをお話しした。つまりサービスや技術の進歩が時代をつくるのではなく、ユーザー自身の変革こそが時代をつくるのである。Web2.0時代においてもっとも変わったのは、まさにユーザーそのものである。インターネットが普及してきたころ、我々はその技術や機器に慣れることに必死だった。そしてブロードバンド環境の整備が進むと、スピードへの追求を始めた。そこで得たのは、「情報」という受動的源泉(ネガティブソース)である。この時期がWeb1.0時代といえる。

 今の時代はどうか。「情報」は溢れかえっている。また、カタログサイトやプロモーションサイトなど、企業発信主体の「セルサイド情報」はもはや力を失い、ブログやSNSでのクチコミなど、ユーザー主体情報の「バイサイド情報」へとパワーシフトしていることも事実である。ユーザーは自分の意思で情報に優先順位をつけ、最適な情報を選び出し、そして行動(購買)する上での能動的源泉(ポジティブソース)とする。これこそがWeb2.0時代であり、ユーザーにもたらした変革のひとつといえる。

 この変革を捉え、ユーザーの理解に努めることは、Web2.0時代においてWebサイトを成功に導くカギとなる。


Web2.0時代がもたらしたユーザーの消費行動プロセス

 また、Web2.0はユーザーの消費行動プロセスにおいても大きな影響を与えている。

 消費行動プロセスとして、アメリカのローランド・ホールが提唱したAIDMA(アイドマ)の法則が代表的である。AIDMAとは、Attention(注意)→Interest(関心)→Desire(欲求)→Memory(記憶)→Action(行動)という、消費者が購買にいたるまでの段階を定義した考え方である。しかしこの消費行動プロセスが、インターネットの普及、そしてWeb2.0時代の到来によって、大きく変化してきている。

 昨年10月に電通が商標登録したことで話題になったプロセス、AISAS(Attention→Interest→Search(検索)→Action→Share(共有)モデルをご存知だろうか。AIDMAとの大きな違いは、ユーザーが主体者となって情報を探し出すSearch(検索)と、購買した後にネット上で情報を発信し、他のユーザーと共有するShare(共有)というネット上ならではの概念が加わっている点である。しかしながら、ネット上の行動すべてにおいて、この考え方が適用できるかというと否である。もっとも重要な点は、今まで受動的に情報を捉える側だったユーザーが、情報の主体者として購買にインパクトを与える存在になってきているという点である。それこそがこの連載で再三にわたってお伝えしている、ユーザー視点で考えるという本質につながるのだ。


プラスアルファの消費行動プロセス

 ユーザー視点で考えると、AIDMAでもAISASでもカバーしていない行動プロセスが見えてくる。それはExperience(経験)→Fan(ファン化)→Diffusion(拡散)のプロセスである。ユーザーは企業に対して、一方向的な情報だけを求めるのではない。そこに参加したり、コミュニケーションすることによって、企業のもつブランドを経験する。その経験を通じてユーザーはブランドを好きになり、ファンという存在になる。ファンになれば、あたかも企業の代弁者のように情報をクチコミとして広げていく。この考え方こそが、EFD(Experience→Fan→Diffusion)の行動プロセスである。拡散された情報は、やがてユーザーの検索によって探し出され、ネガティブソースとなっていく。このスパイラルはWeb2.0がもたらした大きな変化といえそうだ。

 次回はWeb2.0時代におけるユーザーの消費行動プロセスの変化を捉えたユーザーシナリオ設計について、具体的にお話しする。



【筆者プロフィール紹介】
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部 ゼネラルマネージャー

慶應義塾大学法学部卒業。同大学卒業後、ソフトバンクに入社。同社出版部門の広告 局にて、幅広いクライアントの広告営業に従事。また新規事業立ち上げにおいてマー ケティングを担当。2002年4月より、トライベック・ストラテジーに参画。同社のユー ザー視点でのワンストップソリューションを核に、IT、飲料、金融、エンタテインメ ント、など業種業態にかたよらない幅広いプロジェクトに従事。Webマーケティング 戦略、プロモーション戦略の策定から企業ブランドサイト構築、ECサイト構築、コミュ ニティサイト構築などを手がける。専門は、Webマーケティング戦略全般/コミュニ ケーション戦略/ブランドサイトならびにコミュニティサイトプランニングおよび構 築など。


【会社プロフィール紹介】
トライベック・ストラテジー
「徹底的なユーザー視点」を核にマーケティング戦略のIT化を支援するプロフェッショナル集団。
Web戦略の策定からWebシステム開発、サイト運営まで、eビジネスのトータルソリューションをクライアントの方々とともにゴールを共有して、ワンストップで提供することを目指す。
同社のプロジェクト実績を見る




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