• 2007/02/15 掲載

【連載】Windows VistaとはどのようなOSなのか?第1回/全5回:Vistaが提供する新基準

C MAGAZINE MOOK「最新 Windows Vistaプログラミング徹底理解」2月17日発売!!

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マイクロソフトは、Windows Vista 日本語版を2006年11月30日に企業向けに、そして2007年1月30日にパッケージ製品をリリースした。本連載では、既に様々なメディアを通して紹介されているこの新しいOSについて、その機能を深く掘り下げて解説していこう。

Windows XP-体験という新基準


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図1 Windowsの進化の歴史
 まずはWindows XP について振り返ってみよう。Windows XPにより、コンシューマ向けのWindows95/98/Meとビジネス向けのWindows NT/2000 の二分化されていた製品体系を一本化し、完全32ビット・プリエンプティブなマルチタスクであるWindows NT系へ移行することができた(図1)。

 むろん、アプリケーションについてもそれぞれのOSごとに動作検証を行い各OSに対応してきた。OSを一本化することで16ビットから32ビットへ舵を切る戦略を明確にし、分散していた開発リソースを集中させ重複していたコードや互換性検証作業といったソフトウェア開発にかかわる煩雑さをマイクロソフト内で解消しただけではなく、対応アプリケーションを開発していたパートナー企業に対しても同様の恩恵があった。

 Windows XP がもたらしたものは、前述のようなソフトウェア業界側の理屈がわかりやすい点の1 つといえるだろう。ただし、この恩恵はソフトウェアを開発する側にとってのものであり、Windows アプリケーションを利用するエンドユーザにとっては、システムリソース不足問題の解消と、OS の安定性、ソフトウェア互換性のロードマップの提示が思い浮かぶこところである。

 これらは正常進化の範囲内といえるが、Windows XPがもたらした革新はこれだけなのだろうか。Windows XPにより、高い操作性を前提とした使用感・達成感や快適性、すなわち、体験(experience)も性能である、と新基準を示したことが大きい点といえる。

 つまり「この機能を実行する」という考え方から「より適切かつ快適に実現する」考え方へとパラダイムシフトした。換言すると、「コンピュータを操作する」ことから「コンピュータとともに活動する」ことへと、人とコンピュータのかかわり方を一新した。


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図2 Windows 95(上)と
Windows XP(下)のUIの比較
 Windows 95の登場により、視覚的にコンピュータを操作し機能を実行するグラフィカルユーザインターフェイス(GUI)が多くのユーザに利用され浸透したことはいうまでもない。Windows XPでは、このGUIによる統一的な操作性を継承し発展させたタスク指向のユーザエクスペリエンス(UX)“Luna”(ルナ)を提供し、Windows 95以降のGUIによる操作性をさらに高めた操作感と、まだ使ったことのない作業を容易に探し出して実行できる環境を提供した(図2)。もちろん、Windows NT系OSの持つ信頼性、可用性、拡張性をベースに持ちつつである。

 また、この「体験」という新基準は、「すべての机に家族にコンピュータを」(A computer on every desk and in every home)という創業時からのビジョンの時代から、2000年に策定した「時や場所、機器を問わず、優れたソフトウェアで人々の可能性を広げる」(To empower people through great software -- any time, any place and on any device)のビジョンの時代へ変わってきたことの明示といえる。

 このような変革のあったWindows 95からWindows XPの普及までの約10年を振り返ると、ライフシーン、ビジネスシーンでもデジタル化への移行が進んだ時期ではないだろうか。

 ムーアの法則、シュガートの法則、メトカルフの法則に代表されるようなハードウェアやネットワークに関する進化が後押ししていることはいうまでもないが、直接会い対話する現実のネットワークだけではなく、デジタルの世界で対話するサイバーなネットワークも重要性が増してきている。むしろ、デジタルの世界から人間関係の構築やコミュニケーションが始まることが多い状況になっている。

 届くまで数日かかっていた手紙は指先ひとつでメールする(電子メールで送る)ようになり、携帯電話がインターネットにつながり、デジタルカメラで思い出をデジタルに残し、デジタル化した多くの歌や音楽をポータブル音楽プレイヤーで持ち運び、ホームページやBlog、動画サイトを通じて情報を発信し、掲示板や比較サイトで様々な人の意見を目の当たりにし、ショッピングサイトやオークションサイトでお買い物、オンラインゲーム上で見ず知らずの人とパーティを組んでゲームを楽しみ、検索サイトにより情報検索するデジタルデータを活用するライフスタイルへと変わっていった。

 また、ビジネスの観点でも、CRM(顧客管理システム)による顧客とのリレーション管理、パートナー企業のネットワークへの直結、在庫や納期の確認や受発注、損益のリアルタイムなシミュレーション、どこからでも社内ネットワークへ接続しビジネスを行うワークスタイルが確立されてきた。

 このようなライフスタイルやワークスタイルを過ごすデジタル世代ともいえる我々は、すべてのもしくは多くのデータがデジタル化されている状況にいる。デジタルデータから状況に応じた必要なものを探し出し再利用し、さらなるデジタルデータを生み出す。指数的にデータ量が増し、デジタルデータの洪水と化す。この洪水の中で、検索、表示、作成、編集、保存を繰り返し続けるのである。
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