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- 2023/10/13 掲載
売上5倍超の商品も…資生堂や明治らに学ぶ「インバウンド戦略」大成功への秘策とは
【連載】現役サプライチェイナーが読み解く経済ニュース
百貨店:インバウンド需要の売上が「19年比24%増」
日本百貨店協会による調査結果では、2023年8月における全体の売上が3,897億円、前年同月に対して11.8%の増加で、2019年同月と比較すると4.2%の減少でした。このうちインバウンド需要による売上は317億円(全体の売上に対する8.1%)で、2019年8月の実績から24.1%も上回りました。
百貨店には、基本的に国内在住者が購入すると考えられる、消費期限の短い食品や総菜といったカテゴリを有していることを鑑みると、全体の売上に対する8.1%は小さくないと言えるでしょう。各国からの入国制限が終了し、客数が増加したとともに、直近では140円台後半という円安もあって(2019年8月は105~106円程度)、インバウンド需要が急回復していると分析できます。
人口減少が続き、消費者の趣味・嗜好も多様化している日本市場において、2桁%の成長が難しい業界は多くあると想定されます。すべての業界が恩恵にあずかるわけではないものの、インバウンド需要には大きなチャンスがあります。訪日バブルでにぎわったコロナ直前までにインバウンドが回復しつつある今こそ、改めて戦略を練る重要な時期なのです。
資生堂に見る「インバウンド戦略」の重要性
ではここで、インバウンド戦略がいかに重要かがわかる事例を見てみましょう。たとえば、初めて売上が1兆円を超えた2017年の資生堂です。2017年における国内の売上4,310億円のうち、実は585億円が訪日外国人による売上だったと公表されています。つまり、この時点で国内売上のなんと13.5%がインバウンド需要だったのですね。
さらに、「トラベルリテール」というセグメントで別途管理されている世界各国における空港免税店での売上は、2017年に全世界で650億円、2018年には876億円と、同社の事業セグメントの中で当時最大の伸長率を誇っていました。
このうち日本の空港に関する売上は公開されていませんが、日本というエリアで区切った場合、先述の585億円にこの空港分を加えると売上の15~20%はインバウンド需要が占めていたと推測できます。
インバウンド需要の効果はこれだけではありません。当時、中国事業もトラベルリテールに次いで大幅に伸長していたのですが、これには日本でのインバウンド需要が貢献していたと考えられます。というのも、コロナ前の当時、インバウンド消費の7~8割(金額ベース)は中国人という情報もあり、日本で購入した化粧品を中国のSNS(ウェイボーなど)にアップするというのが流行していました。これにより、日本の化粧品の認知度が上がり、中国国内で販売されている商品の需要にもプラスの影響があったと考えられます。
化粧品だけでなく、お菓子や家電など、コロナ前にインバウンド需要が話題になったカテゴリは複数ありました。訪日外国人に人気が出ると、かなり大きなビジネスインパクトとなります。インバウンド需要を的確に捉え、メーカーや小売は自社のサプライチェーンを俊敏に動かしていくことがビジネスの成否を分けると言えるでしょう。ではどのようにして、戦略を練れば良いのでしょうか。 【次ページ】売上5倍超も…「インバウンド戦略」の仕掛け方
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