後藤 洋氏 トライベック・ストラテジー コンサルティング部 ゼネラルマネージャー

　“Web2.0時代の到来”。最近そんな言葉をよく耳にするようになった。インターネットで変わったビジネスの世界パラダイムは新しい局面を迎えている。そんな中、Web2.0時代の旗手と言われているSNSコミュニティmixiのマザーズ上場や、GoogleのYouTube2000億円買収など話題は尽きない。“Web2.0時代の到来”はまさにインターネット業界において、現在もっとも注目されているキーワードであることは間違いない。

　そもそもWeb2.0時代とはどういうものなのか？
　Web2.0と言えば、SNSやblogに代表されるCGM（コンシューマ・ジェネレーテッド・メディア）や、マッシュアップ、ロングテール現象、CMS（コンテンツ・マネジメント・システム）など、次から次へとそれを表すサービスや製品が台頭してきている。ただしどれもWeb2.0を説明しているものではない。なぜならば、Web2.0というキーワード自体が、製品やサービスそのものを示しているものではなく、あくまでコンセプトや概念に過ぎないからである。



　そんな中、最近のWebサイト構築において間違った見解をしている企業も多いようだ。例えばこんな会話をよく耳にする。

　クライアント：「最近流行のWeb2.0に対応したサイトを作りたいので、リニューアルしてほしい」
　制作会社：「分かりました。それではSNSコミュニティを作って、情報をRSSで配信しましょう」。

　こういったやりとりは、前述の考え方からすると理解し難い。
　この短い会話のやりとりには大きな間違いが2つある。ひとつは、Web2.0という言葉の意味が全く理解されず感覚的に使われているということ。そのため、Web2.0的なサービスをソリューションに強引に結び付けようとしている。もうひとつは、Web2.0に対応という考え方である。そもそも企業のWebサイトは、エンドユーザー（コンシューマ）に対して情報発信やコミュニケーションする目的が主であり、決してその時代の最新技術やサービストレンドが主導であってはならないメディアという点である。もっとも重要視すべきは、『エンドユーザーのニーズを的確に汲み取り、いかに応えるか』である。どのような時代であろうと、それは不変的なものである。

　Web2.0時代に新しいソリューションを、次に3.0時代になればまた新しいカタチに・・・ということを繰り返していては、結局企業側の一方的な情報配信で終わってしまう。どのような時代においても、不変的で戦略的なサイト構築のポイントがある。それはユーザー視点という考え方である。時代はインターネットの進化や、技術が作っていくのではない。ユーザーのニーズや思いが、ITという道具を使って、時代を切り開いていくのである。つまり、あくまでも主役はユーザーであるということを忘れてはならないのである。

　“Web2.0時代の到来”と言われる現在。そんな中にあって、ユーザー視点にたったサイト構築術とはいかなるものなのかを、次回以降、紹介していきたいと思う。

【筆者プロフィール紹介】
後藤 洋氏
トライベック・ストラテジー
コンサルティング部 ゼネラルマネージャー

慶應義塾大学法学部卒業。同大学卒業後、ソフトバンクに入社。同社出版部門の広告 局にて、幅広いクライアントの広告営業に従事。また新規事業立ち上げにおいてマー ケティングを担当。2002年4月より、トライベック・ストラテジーに参画。同社のユー ザー視点でのワンストップソリューションを核に、IT、飲料、金融、エンタテインメ ント、など業種業態にかたよらない幅広いプロジェクトに従事。Webマーケティング 戦略、プロモーション戦略の策定から企業ブランドサイト構築、ECサイト構築、コミュ ニティサイト構築などを手がける。専門は、Webマーケティング戦略全般／コミュニ ケーション戦略／ブランドサイトならびにコミュニティサイトプランニングおよび構 築など。


【会社プロフィール紹介】
トライベック・ストラテジー
「徹底的なユーザー視点」を核にマーケティング戦略のIT化を支援するプロフェッショナル集団。
Web戦略の策定からWebシステム開発、サイト運営まで、eビジネスのトータルソリューションをクライアントの方々とともにゴールを共有して、ワンストップで提供することを目指す。
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