- 2006/06/08 掲載
【保田隆明氏インタビュー】株式や経済を楽しみながら理解する「金融系エンターテインメント」登場!(2/2)
投資リスクについて
Q.世間では、投資を行う人の中でも責任を負うことやリスクを考えることの意識がまだまだ低いという考えもあるようですが、これから株を始めようとする人たちは投資でのリスクをどう考えていけばいいでしょうか。
保田●リスクは実体験しかないと思うんですよね。現実にリスキーな状況に身を置く場面は多くの人にとって少ないでしょうけど、一番リスキーさを実感するのはお金ではないかと思います。損する損しないっていうのは大きいでしょう。株や投資を始めるとイヤでもリスクを考えることになります。例えばスポーツを楽しもうとすれば怪我はつきものでしょう。だから投資でリスクを抱えるのは必要なプロセスだと思うし、ある程度は避けられません。
Q.最近、主婦やOL、サラリーマンというごく一般的な人たちが株式投資を始めていますが、いわゆる個人投資家の増加が目立ってきたのはどのくらいの時期からですか。また要因はなんですか。
保田●昨年あたりからだと思います。日経平均株価が40%ぐらい上がりましたからね。過去5年間の日経平均のグラフをみると、2002年、2003年は平均株価が1万円を割っていました。しかも企業はリストラの大合唱でもう世の中真っ暗ですよ。それから2004年には1万円台まで回復したので、徐々に市場が盛り上がってきました。そして、去年は1万2千円台から始まって1万6千円台まで上昇しました。この株価の上昇とともにメディアが投資に注目し始めたなという印象がありました。もうひとつの要因は手数料がめちゃくちゃ安いオンライン証券が登場したことです。それまでは1回の売買でも手数料が何千円もかかりました。例えばせっかく5千円の利益を出しても、ほとんど手数料で相殺されると意味がないですよね。しかも、買うときに手数料が必要なのはもちろん、売るときにも手数料がかかります。その手数料が下がったのは大きなことだと思います。個人投資家が株で5千円の利益を出すのは大変ですからね。
ライブドア事件が与えた影響
Q.ライブドア事件で株は怖いものなんだなという印象が蔓延するかなと思いましたが、個人投資家の数も順調に増えている気がします。結局あの事件も一過性のことでしかなかったのでしょうか。
保田●いや、やはり怖いと思ってますよ。実際、売買量はかなり減っています。極論ですが、全ての資産を株につぎこみ、さらに信用取引で資産の何倍ものお金を借りて投資をしていた人たちが、ある程度いたと思います。それは随分と危険な投資方法です。それがゆえに事件後の売買量は減っています。日経平均の変動はあまりありませんが、新興市場のマザーズやジャスダックの指数は大幅下落です。もうしばらくは様子見という感じがします。そうは言っても、小金を持ってる人はまだまだいるわけですよ。やはり日本は裕福な国ですし、まだまだ単に貯金する人が実に多いですよ。日本の金融資産は1千5百兆円~6百兆円とか言われてますが、そのうち株が占める割合は全体の10%ぐらいです。それが15%~20%に上がると市場に流れるお金の量が増えるということです。そうすると必然的に市場は活性化されていくのです。現状はまだ動いてないと思います。
Q.最後に、まえがきに「株上手になろう」と書いてありましたが、本書の内容からすると、「恋愛上手なろう」とも取れますよね。今回とてもユニークな株式投資本をお書きになった保田さんは「恋愛上手」ですか「恋愛下手」ですか。
保田●上手でも下手でもどっちでもないと思いますよ(笑)。株式投資が恋愛と似てるよというのがメッセージではないんですが、そういう身近なものをモチーフにして理解してもらうのが一番いいかなと思っています。株も恋愛もリスクもありますからね。やっぱりそういう意味では、似てるのかもしれないですね。(インタビュー:秋元匡子)
●著者紹介
保田 隆明(ホウダ・タカアキ)
外資系証券でM&A、資金調達アドバイザリー業務に従事後、ソーシャルネットワーキング運営会社を起業。現在はワクワク経済研究所LLP代表として、金融・経済コメンテーター、M&A・株式市場アドバイザリーと幅広く活躍中。
著作に、『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)、『恋する株式投資入門』(青春出版社)がある。
日テレNEWS24 「まーけっとNavi」毎週水曜日出演中
テレビ埼玉「ビジネスウォッチ」出演中
公式サイト:ワクワク経済研究所LLP
http://wkwk.tv/
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