- 2006/06/08 掲載
【保田隆明氏インタビュー】株式や経済を楽しみながら理解する「金融系エンターテインメント」登場!

Q.数多くある株式投資本の中で、恋愛をモチーフにマンガを織り交ぜながら、投資を解説した書籍は珍しいと思うのですが、このような形式にしたのはなぜですか。
保田●最近、テレビや雑誌で投資に関する特集がよく組まれていますよね。それに興味を持ち、投資や金融を「学びたい」まではいかなくても「ちょっと知ってみたい」と思う方が増えてきました。その中でも特に女性が投資について高い関心を寄せているということもあり、女性たちが興味を示してくれる投資や経済の本を作りたいと思ったのです。ただ、普通に投資や金融のことを書いてもおもしろいものは作れませんし、読者も満足しないだろうと考え、女性がどういうものに反応するかを調べました。女性誌を見てみると、恋愛の特集が非常に多く組まれていて、これを切り口とすれば、女性に関心を持ってもらえる本になるかもしれないと考えました。あと、書店に並ぶ投資の本は内容が高度のものや分かりにくいものも多いので、もっと簡単に伝えたいというのも理由のひとつです。
Q.女性に関わらず、一般の人たちが投資を始めることをどう思いますか
保田●株式投資をみんながする必要はまったくありません。株を知ってみよう、あるいは株を通じて経済やファイナンスのことを知りたい、という気持ちを持った人が始めればいいと思います。率直に言って、素人がいきなり株式投資をするのは危険です。書店とかメディアでは成功した人たちがたくさん紹介されていますが、過去の株式のトレンドをみても、そんなに勝てるものではありません。証券会社に勤めている方やファンドに勤めている方は、24時間365日そのことばかり考えているわけですよ。その方たちに対して1日30分程度では勝つことは難しいです。ただ難しいからと言って、投資には手を出さないほうがいいのかと言うとそうではありません。プロには勝てないまでもちょい勝ちみたいなところを目指せば投資を始める価値はあると思います。一般の金融商品より利回りは高いので資産形成という意味でもいいですね。なにより経済やビジネスを知るきっかけになります。

難しいことを難しく言っても伝わらない
Q.前の著作『図解 株式市場とM&A』(翔泳社)も物語の形式をとって分かりやすい内容でしたし、今回の『恋する株式投資入門』も恋愛という身近なところから株を説明しています。その分かりやすさへのこだわりについてお教えください。
保田●株式や経済を難しいものと思っている人は僕の周りにもたくさんいます。でも、株やM&Aは触れたことがないから難しく思えますが、仕組みを知れば独特なおもしろさがあります。そのおもしろさをたくさんの方と共有したいと思い、分かりやすく簡単に解説することを一番に考えました。私自身、難しいことを難しく話す人がとても苦手なんです。それがイヤで、難しいイメージを打破したかったのです。例えばネット証券が手数料をガーンと下げて一般の方たちにも株を売買してもらいたいと思ったのも、そこに風穴をあけたいという狙いがあったからだと思います。私も難しいと思われている経済、金融の世界 に風穴を開けたいと思っています。経済や金融のことを難しいものと捉えて、難しい言葉でやりとりしないと楽しめない投資なんて社会的に何の意味があるのかと疑問に思うのです。しかも世の中にはたくさんの経済雑誌や経済番組がありますが理解しにくいものも多いです。理解不能なものに時間やお金を使うのももったいないでしょう。難しいことを分かりやすく説明するのは大変な作業でもありました。けれど、あえてチャレンジしてみたかったという気持ちがありました。
Q.昔からやりたかったことのひとつでもあり、いままでの株式投資本とは違うものを作るという挑戦でもあったわけですね
保田●そうですね。私は以前、外資系証券会社に勤めていましたが、そこでは「自分はこの分野の専門家」という立場でロジカルに物事を説明する傾向がありました。でもクライアントは半分も理解できてないことがあるんですよ。そこは彼らの立場に立って説明するとかアピールすることが重要だと常に感じていました。いい商品を作っても最終消費者に喜ばれなければ意味がないですよね。私自身、出版はまったく知らない分野でしたし、どれくらいのことができるのか分かりませんでした。何でもそうですが、最初は知らないと怖いと感じますが、知ってしまえばそれだけの話だったんだなと、時間はかかりますが 自分で気付けるようになります。
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