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- 2023/04/11 掲載
動画の教祖:明石ガクト「電通的なものこそスベる」の真意、勝つショート動画はこう作る
前編はこちら(この記事は後編です)
「良いショート動画」はコメント欄を見ればわかる
コロナショックを境に、「動画2.0」から「動画3.0」の時代へと、動画のフェーズは大きく移り変わりました。新時代の「良い動画」とはどのようなものか──とよく聞かれますが、これはTikTokの運営会社であるバイトダンスが明確に定義しています。バイトダンスの定義は「動画自体がマイクロコミュニティ化しているもの」。実は私も以前から、「コメント欄が掲示板化している動画はうまくいく」と話していました。動画を見た人が感想をコメント欄にどんどん書き込んでいて、皆がひとこと言える空気がある。
つまり、動画自体は起点に過ぎず、これをハブとしてコミュニケーションが活発化するのが「良いショート動画」。その結果が前編で解説したファンコミュニティや、「TikTok売れ」のような現象につながっていくわけです。
これはコミュニティの定義が変わったということでもあります。重要なのは、みんなが会話している軸にあるもの、即ち「#(ハッシュタグ)」。これからの時代は、ハッシュタグこそがコミュニティなのです。
YouTubeの時代に重要だったのは、「@(アットマーク)」の後に来るチャンネル名です。企業がPRをする際は目的にぴったりの「@◯◯」を探してきて、クリエイターの力を借りて再生回数を伸ばすという「アットマークドリブン」の世界でした。
しかし、TikTokは「ハッシュタグドリブン」の世界。TikTokで最も有名な広告商品は、企業やブランドが特定のハッシュタグを作って「みんなで動画を投稿しよう」と呼びかける「ハッシュタグチャレンジ」です。今では、多くの企業がこの手法を活用していますが、ハッシュタグを使うことで、動画が埋もれず見つけやすくなりました。
その一方で、高額の広告商品を買わずとも、自然発生的にバズる動画もたくさんあります。最近ではSleepy Boyさんの投稿が起点となりバズが生まれた「#着替えて行きます」がきっかけでコーディネート動画が盛り上がり、「#コーデ」で検索されるTikTok上の動画の閲覧回数が、3カ月半の間で2.9億回から19億回に急増しました。
ここまでの仕掛けを企業側が作ることは困難でしょうが、企業は自社の領域で流行するハッシュタグを作らなければならない。それができないなら、自分たちがハッシュタグの中に飛び込んで共感を呼ばなくてはなりません。もしも私が今アパレル会社を経営していたら、「#着替えて行きます」に参加しているでしょう。 【次ページ】「電通的なものこそスベる」理由
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