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  • 2023/04/13 掲載

鹿島建設が推進する3つのDX、「無人重機」「3次元可視化基盤」を生む環境とは?

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日本の建設業界は海外と比べても、また国内の異業種と比べた場合もIT化が遅れていると長らく指摘されてきた。しかしここへ来て、国の積極的な後押しもあり、これまでの遅れを取り戻すべく、大手ゼネコンを中心にDXに積極的に取り組む企業が増えてきた。鹿島建設も、DXへの積極的なコミットで、近年注目される企業の1社だ。そうした取り組みの背景や具体的な経緯、成果などについて、同社 専務執行役員 福田 孝晴氏に話を聞いた。
聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

聞き手、構成:編集部 山田 竜司 執筆:吉村 哲樹

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鹿島建設
専務執行役員 研究技術開発・建築構造担当
デジタル推進室・知的財産部管掌
福田孝晴氏

DXとデジタル化を重要な経営戦略の1つとして位置付ける

 鹿島建設は現在、中核事業である建設事業と開発事業に加えて海外事業にも力を入れています。特に海外事業に関しては、北米を中心に欧州、東南アジア、オセアニア、中国と幅広いエリアで建設事業と開発事業を展開しています。

 なお2023年度は、2021年5月に発表した中期経営計画(2021~2023)の最終年度に当たります。中期経営計画は「2030年のあるべき姿」から逆算して、大きく分けて3つの目標を掲げています。

 1つ目の目標は、中核事業である建築事業・開発事業をより一層強化すること。そして2つ目の目標として、新たな価値の創出への挑戦を目指しています。さらに3つ目の目標として、成長と変革に向けた「経営基盤の整備とESGの推進」を挙げています。

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中期経営計画(全体像)
(出典:鹿島建設)


 これらの目標を達成するための手段として、現在弊社ではデジタル化やDXを経営戦略の重要な柱の1つに据えています。特に、「X(トランスフォーメーション)」をいかに有効な形に変えていくかが重要です。2021年1月に社長直轄の組織として「デジタル推進室」を発足させ、現在私がその管掌役員を務めています。

 なお私自身は7年前から5年の間、技術研究所の所長も務めており、現在は研究開発の取り組み全般を統括する立場にあります。こうしてデジタルとR&Dの両方を担当して互いの連携を強化することで、これまでにない相乗効果を生みたいのです。さらには、知的財産部も現在私が担当しています。デジタル関連の活動や研究開発が生み出した知的財産を弊社の競争力の中核にするべく、守って管理する必要があります。

 これら3領域をまとめていきながら、現在弊社で必要とされている無形資産の価値を全社的な観点から拡大・強化していくこと。これが私に課せられた役割だと考えています。

「建設DX」「事業DX」「業務DX」を同時並行で進めていく

 現在弊社のDX戦略は、主に3つの分野に注力しながら進めています。1つ目の分野は、中核事業の一つである建設事業の強化です。建設業界では現在、高度な技術やノウハウを持つ技能者が高齢化していく一方、本来その技能を継ぐべき若い方たちになかなか入って来てもらえないという問題に直面しています。このままではスキルが失われていく一方ですから、これを補うために生産性を上げていく必要があります。

 そのためには、やはりデジタル技術を使った自動化や省力化、機械化の仕組みを取り入れていく必要があります。いわゆる「建設DX」と呼ばれる分野の取り組みです。

 2つ目の分野は、中期経営計画でも掲げている「新たな価値創出への挑戦」の推進です。先に挙げた建設DXの取り組みを進めていくと、自ずと社内に技術やノウハウが溜まっていきます。その成果を活用することで、新たな事業を創出したいのです。具体的には「5G」「メタバース」「ブロックチェーン」といった技術を建設分野に適用し、新たな事業の創出につなげる「事業DX」を2つ目の柱に掲げています。

 そして3つ目の分野が「業務DX」、つまりデジタル活用による業務の効率化です。日本企業の生産性の低さは以前から知られており、米国と比べると6割程度だと言われています。この問題を解決するためにデジタル技術を積極的に活用し、業務効率を向上させていく必要があると考えます。

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「建設DX」「事業DX」「業務DX」を推進

 この「建設DX」「事業DX」「業務DX」という3つのDXを同時並行で進めていくのが、弊社のデジタル戦略の大まかな方向性となります。

【次ページ】無人重機で「日本一のダム打設効率」を実現
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