NTTデータ経営研究所 パートナー 金融政策コンサルティングユニット長 大野 博堂
93年早稲田大学卒後、NTTデータ通信(現NTTデータ)入社。金融派生商品のプライシングシステムの企画などに従事。大蔵省大臣官房総合政策課でマクロ経済分析を担当した後、2006年からNTTデータ経営研究所。経営コンサルタントとして金融政策の調査・分析に従事するほか、自治体の政策アドバイザーを務めるなど、地域公共政策も担う。著書に「金融機関のためのサイバーセキュリティとBCPの実務」「AIが変える2025年の銀行業務」など。飯能信用金庫非常勤監事。東工大CUMOTサイバーセキュリティ経営戦略コース講師。宮崎県都城市市政活性化アドバイザー。
数年前、日本各地では地方版総合戦略策定を契機に、「地方創生」がブームとなった。国が地方自治体にカネを渡し、規模の大小にかかわらず厚いドキュメントの作成を要請したことが契機となったものだ。自治体は併せて人口ビジョンを公表し、新たに導入する施策が域内の人口増にいかに寄与したかを推し量るKPIを設定した。ところが、自治体では足元の人口推移は住民基本台帳から類推することはできても、人口増減に影響を与える他のパラメータを速やかに取得・利用することができず、結果として、足元の人口増減の要因分析まで至っていないのが実態だ。今回は、自治体の政策アドバイザーも務める筆者が、日頃、自治体職員と接する中で感じる「現実の風景」を紹介しつつ、地方創生という難題に金融機関がいかに取り組むべきかを考えてみたい。