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- 2016/11/22 掲載
働き方改革でVDIが本格化、「リモートPCアレイ」はコストの壁を壊せるか
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コスト・開発期間がかかる従来型VDIと本格的な企業システムとして活用するには課題も多いDaaS
官民が進める働き方改革をきっかけにして、VDIに再び注目が集まっている。VDIではネットワークを通じて遠隔のコンピュータにログインし、デスクトップ画面のみを転送して利用する仕組みであるため、手元にデータが残らない。このため、セキュリティ強化や災害時でも自宅で業務を継続するBCP対策として、これまでも多くの企業に導入されてきた。VDIの実現方法は、大きくオンプレミスとクラウドに分けられる。オンプレミスの場合、物理サーバにVMware vSphereなどの仮想環境を導入し、さらにCitrix XenDesktopなどのVDIソフトウェアを入れる。仕掛けとしてはけっこう大がかりなため、導入数が少ないとコスト的に厳しくなる。長年、VDIソリューションを提供してきたアセンテックの代表取締役社長 佐藤直浩氏は、次のように説明する。
「VDIを導入したいというお客さまが数多くいらっしゃいますが、見積もりをお出しすると、そこで終わってしまうケースも少なくありません、原因はコストと開発期間です。たとえば、50ユーザーくらいを希望される場合、現在のオンプレミスのVDIシステムだと高コストになり、開発期間も予想以上にかかってしまうのです」(佐藤氏)
一方、クラウドでVDIを提供するのがDaaSだ。初期コストを抑えられ、ログインするだけで利用できる手軽さから注目を集めているが、本格的な企業システムとして活用しようとすると課題も多い。
「たとえば、社内のActive Directoryやファイルサーバ、アプリケーションサーバとの連携をどうするか。あるいは、ネットワークのVPNをどう設計するかなど、考えるべきポイントが多く、実際にやってみると予想以上に手間やコストがかかるというケースが少なからずあります」(佐藤氏)

代表取締役社長
佐藤 直浩 氏
しかし、ここにオンプレミスとクラウドの長所を併せ持つ「リモートPCアレイ(以下、RPA)」という第三の選択肢が登場した。それは、超小型のPCを集約して並べるという、非常にシンプルなコンセプトを持つ製品だ。
物理PCを20台並べて1Uの筐体に集約するコンセプトとそれを実現したAtrustの技術力
RPAは、1Uサーバの筐体に超小型のPCを20台集約したアプライアンス製品だ。20台のPCそれぞれが、20人のユーザーに対して専用のデスクトップを提供する。1台のPCには、インテル製CPUと4GBのメモリー、64GBまたは128GBのSSDが割り当てられる。リソースは個々のユーザー専用なので、特定のPCが他に影響を与える心配もない。データセンターのラックに装着すれば、すぐにVDIを提供可能で、ユーザー数を増やしたいときはRPAの台数を増やすだけだ。
RPAを開発したのは、アセンテックと台湾のシンクライアントメーカーであるAtrust(エートラスト)だ。Atrust Computer Corp. Sales Div. Assistant Vice President Sophia Lin 氏は次のように語る。
「AtrustはVDIのビジネスをグローバルで展開していますが、以前から中小企業向けの市場をカバーするのが難しいと感じていました。このため、アセンテックからRPAのお話を伺ったときは、非常に興味深く、可能性があると判断しました。開発にあたっては、弊社のソフトウェアとハードウェアのエンジニア、そして自社工場のエンジニアによる専門チームを作り、アセンテックと協力しながら製品を作り上げました」(Sophia氏)

Sales Div. Assistant Vice President
Sophia Lin 氏
佐藤氏はAtrustと組んだ理由を次のように説明する。
「1つは、RPAに必要だった基板を小型化する技術を持っていたことです。シンクライアントとPCの基板は共通部分が多く、応用できると判断しました。2つめは、我々のさまざまな要求にこたえてくれる非常に柔軟な会社であることです。3つめが高い品質です。Atrustのバートナーとなってから約5000台の製品を出荷していますが、トラブルはほとんどありません」(佐藤氏)
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