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アサヒグループは生成AIを積極的に取り入れ、単なるITツールとしてではなく、業務における“パートナー”としての活用を目指している。その活用法の1つとして、アサヒビールでは、2023年7月、生成AIを用いた独自の社内情報検索システムを開発し、研究開発部門での試験運用を開始した。このシステムの開発に至るまでの背景、さらにアサヒグループが描く生成AIによるイノベーションについて、プロジェクトを主導した2人のキーパーソンに話を聞いた。

生成AIを業務に溶け込んだ“当たり前の存在”に

 ビールや飲料、食品などの国内事業を統括するアサヒグループジャパン。グループ内にアサヒビール、アサヒ飲料、アサヒグループ食品などの事業会社を持株会社として有する。

 同グループは、これまでもAIをはじめとする先進技術に積極的に取り組んできたと、アサヒグループジャパンData & Innovation室 室長・General Manager 深津 智威 氏は、次のように述べる。

「以前より機械学習などの先進技術に取り組み、商品開発等に活用してきました。一方で、大規模言語モデルをベースとした生成AIは従来のIT技術とは一線を画す革新的な技術であり、いずれはインターネット検索同様に当たり前に業務に溶け込む存在になると想定しています。単純な道具としての活用を超えて、今はその技術との有効な活用方法を様々な角度から試行実践しているところです」(深津氏)

 特に同社が今注目しているのが、大規模言語モデルに同社固有の情報を安全に読み込ませて社内業務への適用を目指す「検索拡張生成(RAG)」とよばれる技術の活用だ。たとえば、一般的な知見ではない社内の規定や業務固有のルールを理解したAIがあれば、業務への活用対象は各段に広がる。

「弊社の場合は、飲酒に関わる制作物に関してさまざまな社内基準があります。たとえば広告を作る場合、酒類広告として適切な表現がなされているかの適正判断や、未成年者に対する配慮が適切になされているかなどの観点の確認を従来は人間(社員)が社内で定めた基準等に照らして行っていました。ここに、社内規定や判断基準を正しく理解したAIを用いることで、AIに問いかけ対話を通して、短時間で適正判断や最適な改善立案を行うといった使い方も可能です」(深津氏)

この記事の続き >>

  • ・“とある偶然”が生んだ「社内情報検索システム」開発の裏側
    ・生成AIに対する経営層の理解度を高める“カギ”とは
    ・アサヒグループが目指すAI活用の「次のイノベーション」

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