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戦争体験から語る「1つの理念に従う危険性」
辻井氏は自身の戦争体験から、1つの理念に従う危険性を強調する。辻井氏によると、戦時中の文化人たちは現実を直視できていなかったという。幕末から明治時代の後半まで日本に滞在し、近代日本の教育や外交など多方面で日本の発展に貢献した貢献したグイド・フルベッキという宣教師がいた。彼は明治9年に「憲法第1次草案」の起草に協力しており、人権の尊重を明記した案を提出したものの、岩倉具視や伊藤博文は人権の尊重を採用しなかった。
「人権を尊重する理念と、『皇国に敗戦無し、一億玉砕』といった皇道を重んじる理念は矛盾するものです。皇道の理念に固執していなければ、太平洋戦争は避けられたかもしれません」(辻井氏)
さらに、日本の歴史学者と中国・韓国の歴史学者では日清戦争をめぐる認識が違うこと、高村光太郎や竹内好などの有識者も時流に流されたことも取り上げて、1つの理念に固執することの危険性を語る。
「富国強兵に限らず、富国安民、個人の独立自尊という3つの理念を止揚(相反する概念を高次の段階へ高めること)すべきでした」(辻井氏)
1つの理念に固執する危険性は、平和主義国へと考え方が変わっている現代社会にも潜む。たとえば、サイバーセキュリティの強化といった課題に対しては、俯瞰(ふかん)的な視点から複数の理念を止揚することが効果的だと辻井氏は述べる。
デジタル技術の活用が進む昨今において暗号の研究を続けている辻井氏は、「自由の拡大」「公共性」「個人の権利」という3つの理念を止揚すること、情報セキュリティの観点から理念と現実の相克を克服し続けることが必要不可欠だと語る。
以降では、その矛盾・相克し合う理念を止揚する上で重要なポイント、デジタル時代を生きる人々が持つべき考え方について解説する。
・RSA暗号と楕円(だえん)曲線暗号はどのように異なるのか
・情報セキュリティには複数の理念を取り入れる必要性
・デジタル時代にこそ求められる「MELT-Up」
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