- 2025/04/03 掲載
米関税で市場に動揺、貿易戦争・景気後退を懸念 「最悪のシナリオ」
[ニューヨーク 2日 ロイター] - トランプ米大統領が2日発表した新たな関税措置を受け、世界各国の市場に動揺が広がった。強硬な関税が経済成長や企業業績に打撃を及ぼし、インフレを加速させると懸念される中、アナリストの間では「最悪のシナリオ」との声も出ている。
トランプ氏は全ての輸入品に一律10%の基本関税を課し、一部の国・地域にはより高い関税を課すと発表した。
消費大国の米国に新たな障壁が設けられ、第2次世界大戦後の世界秩序を形成してきた数十年にわたる貿易自由化の流れが反転することになる。
投資家やアナリストは、関税を巡る発言が既に景気減速を引き起こし、消費者や企業の心理に打撃を与えてきたとした上で、今後は貿易相手国の対応が大きな不確実要素だと指摘する。
2日の発表でベースラインが設定されたものの、今後何カ月にもわたり交渉や不透明感が続くとみられる。
インフラストラクチャー・キャピタル・アドバイザーズのジェイ・ハットフィールド最高経営責任者(CEO)は「これは市場が予想していた最悪のシナリオで、米国を景気後退に追い込むのに十分な可能性がある」とし、このため先物が大きく下落していると述べた。
トランプ氏の演説を受け、米S&P総合500種Eミニ先物は3.5%下落。ドルは対円で147円台に下落し、メキシコペソは約0.4%安となった。一方、金や米国債など安全資産の価格は上昇した。
市場は当初、基本関税が10%と、市場の予想より低い水準となったことに注目した。
しかし、一部の貿易相手国に対する関税がはるかに高いことが判明。中国の隣国で主要な貿易相手国でもあるバングラデシュやベトナム、ラオス、カンボジアなどが特に高い関税を課された。
一部の多国籍企業は第1次トランプ政権下で米中間の緊張が高まったことを受け、多様化を図るため供給網を中国からこれらの国に移転していた。
ニューヨークに上場しているこれらの市場の上場投資信託(ETF)は発表を受けて急落した。
メシロウ・カレンシー・マネジメントのシニア投資ストラテジスト、ユウト・シノハラ氏は「これらの数字はより強硬な関税シナリオに沿ったもので、リスク資産を圧迫する一方、一時的にドルを下支えしている」と述べた。
アナリストは貿易相手国が対抗措置を打ち出し、あらゆるモノの価格が大幅に上昇すると予想する。
グリーンウッド・キャピタルのウォルター・トッド最高投資責任者(CIO)は、まだ米側の措置しか分かっていないとし、他国がどう反応するかが、最終的に市場がどう消化するかを左右する大きな要素だと述べた。
マーサー・アドバイザーズのドン・カルカグニCIOは「非常に深刻な世界貿易戦争に発展する可能性があり、これはまだ始まったばかりだ」とし、世界経済にとって悪い前兆だと述べた。
S&P500は3月半ばに直近高値から10%下落し、調整局面入りを確認した。2日の通常取引は2月に付けた最高値を8%下回る水準で終えた。
ロバートソン・スティーブンスのチーフエコノミスト、ジャネット・ガレッティ氏は「関税はあまりにも包括的で、予想をはるかに上回る規模だ」と指摘。「関税が明確になれば相場が押し上げられるかどうかが議論されていたが、明確になった今、誰もその状況を好ましく思っていない」と語った。
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