- 2025/03/03 掲載
ホンダ、次期「シビック」の生産をメキシコから米国へ変更 関税回避=関係者
[東京 3日 ロイター] - ホンダは2020年代後半に発売する次期「シビック」のハイブリッド(HV)モデルについて、当初計画していたメキシコではなく米インディアナ工場で生産する方針を固めた。シビックは米国で最も売れているホンダ車の1つで、トランプ大統領の関税政策の影響などを回避する。事情を知る関係者3人が明らかにした。
メキシコを対米輸出拠点と位置付ける自動車メーカーの多くが「トランプ関税」に懸念を示してきたが、主要な日系メーカーの具体的な対応が明らかになるのは初めて。
ホンダ広報は、生産計画の変更についてコメントを控える一方、「需要や事業環境を考慮し、グローバルで最適な生産体制・アロケーション(工場の割り当て)を検討していく」とした。
ホンダはシビックHVの現行モデルをインディアナ工場とカナダの工場で生産している。関係者の1人によれば、米国とカナダでは物価と人件費が上昇しており、シビックのような比較的、価格の低い自動車を生産するのは採算が合わないことから、次期モデルは27年11月からメキシコ南部グアナファト州の工場で生産し、主に米国へ輸出する計画だった。
しかし、外交交渉などのカードとして関税を使うトランプ大統領が就任し、事業環境に不透明感が強まったことから、関係者3人によれば、対米輸出に関税がかかる可能性があるメキシコ生産計画は撤回。関係者1人によると、インディアナで28年5月から年間21万台を生産することを決めた。同関係者は「トランプ米大統領の追加関税に備えた対策」と指摘する。
ホンダの米国販売は、24年は前の年に比べて約8%増の142万台。シビックの売れ行きは好調で、ガソリン車も含めて同2割増の24万台以上を売り上げた。HVを中心に需要はおう盛で、インディアナ工場だけで生産が追い付かない場合は、カナダやメキシコなど関税対象以外の国から米国への輸出も検討する、と関係者の1人は話す。
トランプ氏は昨年11月の大統領選勝利後、メキシコとカナダからの輸入品に対して関税措置を導入すると表明。今年1月20日の就任当日に大統領令に署名し、2月27日に今月4日から25%を課すと明言した。
メキシコで生産した自動車の8割を米国へ輸出するホンダはかねてから、トランプ政権が関税を発動すれば「事業に与える影響は非常に大きい」(青山真二副社長)とし、中長期的に米国内あるいは関税対象外の国へ生産を移す可能性を示していた。
ホンダは米国販売の約4割に当たるおよそ55万台をメキシコとカナダから輸入している。一方、米国からメキシコへは2万台、カナダへは4万台を輸出している。米国がメキシコとカナダに関税を課し、メキシコとカナダが報復関税を導入した場合、計61万台に25%の関税がコストとして上乗せされる。
青山副社長は2月13日の決算会見で、影響額は「4桁億円の上のほう」と説明。「短期的にはカナダとメキシコで生産しているモデルの変更をできる範囲でやる」、「中期的にはモデルのアロケーションの変更を検討できる準備をしている」と話した。
(白木真紀 編集:久保信博、David Dolan)
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