- 2025/02/07 掲載
日銀は年内に追加利上げへ、27年末までに中立金利に=IMF
Leika Kihara
[東京 7日 ロイター] - 国際通貨基金(IMF)のアジア太平洋局副局長・日本担当ミッション・チーフ、ナダ・シュエイリ氏は6日、日銀が年内に追加利上げを実施すると予想し、政策金利は2027年末までに中立と見なされる水準に達するという見通しを示した。ロイターのインタビューで語った。
予想には大きな不確実性があるものの、IMFは日本の中立金利が1─2%の範囲にあり、中間点は1.5%とみていると述べた。
日本経済については賃金上昇が消費を支え、今年1.1%拡大すると予想した。日銀は2%のインフレ目標を持続的に達成する軌道上に引き続きあるという。
シュエイリ氏は「実質賃金の伸び回復が続くことで、内需がますます強まるというのが依然としてわれわれの基本シナリオだ」とし、「(経済が)予想通りに進展すれば、日銀は緩やかな利上げを継続するとみられる」と述べた。
日銀は昨年、大規模な金融緩和を終了した後、2%のインフレ目標を持続的に達成できる状況に近づいているとの見方から、先月に政策金利を0.25%から0.5%に引き上げた。
日銀の植田和男総裁は、名目ベースで1─2.5%とする経済にとって中立的な水準まで金利を引き上げていく意向を示している。
シュエイリ氏は「われわれは金融政策の方向性、日銀の対応を支持している。日銀は正しい方向に進んでいると考えている」と述べた上で、国内需要の回復を確実にするために日銀の利上げは段階的かつ柔軟に行われるべきだと指摘した。
「政策金利は今年末までに0.5%を上回るとみている。27年末までに中立水準になるだろう」と述べた。
不確実性の高まりと地政学的な分断により世界需要が損なわれ、世界的なサプライチェーン(供給網)を持つ企業に影響を及ぼす可能性があることから、日本経済に対するリスクは下向きだとした。
財政面では、エネルギー補助金を廃止し、長期的な成長により明確な影響を与える分野に支出をシフトするよう求めた。
「成長をより支援するよう、民間投資の一段の効率化に向けた対策など乗数効果の高い分野にさらに重点を置くなど支出を改善する余地がある」と語った。
また「さらに重要なのは、今後数年間で債務比率が下がるよう、財政赤字削減に向けた政策を盛り込んだ明確な計画を策定することだ」と述べた。
石破茂首相の少数連立政権は支出拡大と税制見直しを迫られており、歳入の減少につながりかねず、財政にさらなる負担がかかっている。
また、見込まれる日銀の利上げと段階的な国債買い入れ縮小は国債利回りを押し上げ、日本の巨額債務の資金調達コストを増大させる可能性がある。
シュエイリ氏は、予想される日銀の利上げと国債買い入れ縮小のペースが非常に緩やかなため、利回りが急上昇するリスクは今のところ低いと述べた。
その上で、日本の債務の対国内総生産(GDP)比率が非常に高いことを踏まえると、政府は財政改革を加速させる機会を逃さないようにしなければならないと指摘。
「今こそ財政再建計画を準備し、段階的に実行に移すべき時だ。将来的に政府が急な調整を余儀なくされるような事態に陥ることは避けたい」と語った。
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