- 2025/02/06 掲載
中立金利1%念頭に適時・段階的に利上げ、ペースは予断持たず=田村日銀委員
Takahiko Wada
[松本市(長野県) 6日 ロイター] - 日銀の田村直樹審議委員は6日、長野県松本市での金融経済懇談会後の記者会見で、政策金利が2025年度後半に中立金利1%に到達していることを念頭に置きながら、物価目標の実現に向けた確度の高まりに応じて適時かつ段階的に利上げしていく考えを示した。今後の利上げペースについては「半年に1回と決めているわけではない」と述べ、予断を持っていないと強調した。
田村委員は、毎回の決定会合時点で得られるデータや情報次第では、今後の利上げが「より早くなる可能性もあれば遅くなる可能性もある」と話した。一方で、利上げのペースを考える上で「一定の水準を念頭に置いた方が適時・段階的な調整ができる」とも述べた。
物価目標実現の見極めに当たっては、特定の指標を念頭に置いているわけではないが「2023年度、24年度と強めの賃上げが行われ、それが25年度の春闘で中小企業まで広がって日本全体の賃上げがどうなっているのか、25年度の後半になると確認できるのは一つの大きな材料」と述べた。
田村委員は昨年9月の岡山での懇談会で物価目標の達成時期を「26年度までの見通し期間の後半」としていたが、この日の懇談会では「25年度後半」と述べた。会見で表現の変化について聞かれた田村委員は「(達成時期の)前倒しというわけではないが、私の中で(期間が)絞れてきた」とし、見通し実現に向けた確度や物価上振れリスクの高まりを理由に挙げた。
日銀の追加利上げを受け、銀行各行は預金金利の引き上げを打ち出した。将来の貸出原資を確保するため、預金獲得の動きが激化する可能性がある。メガバンク出身の田村委員は、預金獲得戦略は「各金融機関のビジネス判断次第」と述べた。「市場金利が上がってきたことによって各金融機関の創意工夫の余地が拡大し、顧客サービスの向上につながっていくことを期待している」と話した。
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