- 2025/01/24 掲載
米大手資産運用業界、トランプ政権下で物価高止まりと利回り上昇を想定
[ニューヨーク 23日 ロイター] - 米国ではトランプ政権の移民・貿易政策によって物価上昇圧力が解消されず、今年の債券市場に利回り上昇の脅威を与え続ける公算が大きい――。米大手資産運用業界が想定しているのは、こうしたシナリオだ。
運用額10兆ドル強と世界第2位のバンガードは、物価情勢の改善が停滞し、今年の大半の期間、コア物価上昇率は米連邦準備理事会(FRB)が目標とする2%を上回って、2.5%超で高止まると予想している。ロイターがバンガードの第1・四半期債券見通しリポートの内容を確認して分かった。
リポートは、トランプ政権の移民・貿易政策で物価情勢は一段と複雑化しかねないと指摘。「われわれの基本的な見通しは明るいが、新政権がもたらす不確実性が成長、インフレ、金融政策の行方に大きな幅を与える点を強調したい」と記した。
米債券運用大手パシフィック・インベストメント・マネジメント・カンパニー(PIMCO)の公共政策責任者リビー・カントリル氏とエコノミストのアリソン・ボクサー氏によると、トランプ政権の政策がインフレと成長に及ぼす影響は、政策の規模と打ち出される順番によって変わってくる。
ただ両氏がまとめた基本シナリオに基づくと、関税引き上げと減税に伴う財政赤字拡大を通じて今年の米国のコア物価上昇率は20─40ベーシスポイント(bp)ほど上振れる見込みだ。
米国債利回りは過去数カ月間、トランプ政権の下で物価上昇圧力が再燃し、FRBのインフレ抑制の取り組みが難しくなるとの懸念などから、大きく跳ね上がってきた。
運用額11兆6000億ドルと世界最大のブラックロックは、物価上昇と政府債務増大が相まって、米国債利回りは上がり続け、10年債利回りは5%を超える水準で推移すると予想している。
ブラックロック・インベストメント・インスティテュートは今週のノートで「物価高止まり、政策金利の相対的な高水準、(政府)債務の大きさと増加傾向という現在の組み合わせは過去に見たことがない」と述べ、長期債に対する投資家の需要とのバランスは非常にぜい弱だと警告した。
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