- 2025/01/07 掲載
対米投資に懸念の声、日本企業から相次ぐ 日鉄の買収阻止で
十倉会長は経済3団体のトップが揃ったこの日の年頭記者会見で、「米国にどんどん投資をしてきたが、経済安全保障を理由にこういう決定をなされ、日米経済関係に何か影響を及ぼさないか懸念している」と語った。日本商工会議所の小林健会頭(三菱商事相談役)も「影響は非常に大きい」とし、「公正なる法の下に自由な経済活動を行うことのライクマインデッドカントリー(同志国)の中核が日米だった」と述べた。
米商務省の統計をもとに日本貿易振興機構(JETRO)がまとめたデータによると、対米直接投資の残高は日本が2023年まで5年連続首位。カナダ、英国、フランスが続いている。十倉会長は「雇用創出も製造業だけで見れば日本が最も貢献している」と強調した。
新年祝賀会の会場で記者団の取材に応じたキリンホールディングスの磯崎功典会長は「一番米国にとって信頼できる国の一つが日本だと思っている。その国でさえも、リスクとして考えなければならない」、ANAホールディングスの芝田浩二社長は「一番心配されるのは日本企業の対米投資」と述べた。
日鉄は6日、USスチールの買収中止命令の無効を求めて訴訟を提起したと発表した。
7日の経済3団体の会見に同席した経済同友会の新浪剛史代表幹事(サントリーホールディングス社長)は、「米国の産業活性化のためにいい話。それが理解できない今の米国のありようにクエスチョンマーク(疑問符)が付く」と述べた。
一方、三井不動産の植田俊社長は「当社は米国で40年以上、ビジネスをやってきている。米国の現地法人も米国人がCEOで、ローカルパートナーと常に組んでビジネスをやっており、完全に米国企業になっている」とした上で、「あまりろうばいすることなく、細心の注意を払いながらやっていく」と語った。
(浦中美穂、清水律子、白木真紀、久保信博 編集:宮崎亜巳)
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