- 2024/12/27 掲載
アングル:豪銀株、来年も堅調維持できるかは中銀次第
[27日 ロイター] - オーストラリアの銀行株は今年、大幅上昇した。アナリストらは来年も上昇を続けられるかどうかは、オーストラリア準備銀行(RBA、中央銀行)の金融政策と、それによる物価への影響次第になるとの見方を示している。
主に大手豪銀で構成される金融株指数は今年30%近く上昇し、年間の伸び率としては2009年以来の大きさを記録した。これに対し、主要株価指数のS&P/ASX200は8%の上昇にとどまった。
銀行株が堅調だったのは、経済環境が弱い中でも高い資本リターンが得られるとの安心感から退職年金基金や個人投資家が投資したためだ。
中国の景気見通しが弱いためコモディティ価格が圧迫され、資源セクター全般でバリュエーションが見直された。その一方で、銀行株は安定的な利益と、資産の質の強さを背景に資金流入が増えたと複数のアナリストは指摘している。
モルガン・スタンレーのアナリストチームは「銀行セクターはバリュエーションが上昇し切っているため、今年の主な牽引役(投資主体)からの資金流入が少しでも息切れすれば、もっと正常なバリュエーション水準へと数段階戻るきっかけになるかもしれない」との見通しを示した。
モルガンのモデルポートフォリオは、最終的に豪銀から資金が離れ、資源を含む他の幅広いセクターに流れるというシナリオを引き続き前提にしているという。
オーストラリア最大の銀行、コモンウェルス銀行(CBA)の株価は今年39%も上昇し、オーストラリア証券取引所(ASX)で時価総額が最大となった。
LSEGの集計によると、CBAの直近の株価は155.12豪ドルと、12カ月間の平均価格目標104.37豪ドルを大幅に超え、予想利益に基づく株価収益率(PER)は27.55倍に達している。
ナショナル・オーストラリア銀行株は今年22%弱、ウエストパック銀行は42%、ANZは約11%それぞれ上昇した。
こうした上昇を維持できるかどうかは、究極的にはRBAの政策金利の動向次第だろう。
RBAは年初から政策金利を4.35%に据え置いてきたが、データが予想通り推移すれば早ければ来年2月にも利下げを実施する可能性を示している。
シティのアナリストチームは、インフレ率が高止まりし、短期金利が据え置かれるようならば資産の質と消費支出の減速が問題として浮上するかもしれないと指摘。しかし、利下げが実施されれば銀行以外の企業がインフレと金利低下の恩恵を受け、投資家は銀行株以外にも投資機会を見いだす可能性があるとしている。
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