- 2024/12/12 掲載
スイス中銀0.5%利下げ、一段の利下げ示唆 必要なら為替介入
John Revill
[ベルン 12日 ロイター] - スイス国立銀行(中央銀行)は12日、政策金利を1.0%から0.5%ポイント引き下げ、2022年11月以来の低水準となる0.5%とした。今回が初の決定会合となるシュレーゲル総裁は、一段の利下げ余地があるとの認識を示すとともに、必要なら為替市場に介入する用意があるとも述べた。エコノミストはスイスフラン高の抑制を狙った措置と指摘した。
0.5%という引き下げ幅は、対ユーロでのフラン相場の上限を撤廃し、マイナス金利を深掘りした15年1月以来。
ロイターのエコノミスト調査では、0.25%利下げ予想が85%以上を占めていたが、市場は0.5%利下げを予想していた。
中銀は「基調的なインフレ圧力はこの四半期も低下した。本日の金融緩和は、この進展を考慮した」と表明した。
スイスのインフレ率は直近で0.7%と、中銀の目標レンジ(0─2%)内で推移している。
シュレーゲル総裁は会見で「引き続き状況を注意深く監視し、インフレ率が中期的な物価安定と一致する範囲内に収まるよう、必要に応じて金融政策を調整する」と述べた。将来の物価動向についてはなお不確実性が高いと指摘した。
中銀は、25年のインフレ予測を0.6%から0.3%に下方修正した。24年は1.1%(従来予想1.2%)、26年は0.8%(同0.7%)とした。
来年の成長率は1 .5%から1─1.5%に修正した。
<フラン高に先制措置>
大幅利下げを受け、フランは対ユーロ、対ドルで下落した。
欧州中央銀行(ECB)や米連邦準備理事会(FRB)は追加利下げが予想されている。他国との金利差縮小は、安全通貨とされるフランの魅力を高めることにもなる。
シュレーゲル総裁は「3月に政策決定会合がある。さらなる調整が必要であれば、決定することができる」とし「次の段階に向けた余地がなおあることを意味する」と述べた。
政策金利が主要政策手段で、政策金利によって経済と為替レートに影響を与えることが可能と指摘。マイナス金利回帰の可能性は排除できないが、今回の0.5%利下げで可能性は低下したと述べた。必要に応じて為替市場に介入する用意があるとも述べた。
UBSのエコノミスト、アレッサンドロ・ビー氏は「低インフレ、欧州経済、ひいてはスイス経済のリスクが今回の利下げの主な要因だ」と述べた。0.5%の利下げは、金利差を拡大させ、過度なフラン高を阻止する予防的措置との見方を示した。
ライファイゼンのマクロ・債券調査責任者アレクサンダー・コッホ氏は、今回の利下げで市場の利下げ観測を強めたとし、今後の会合で利下げを見送れば、フランが再び上昇する可能性が高いと指摘した。
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